君の人生、変えてあげる。 46
「飛鳥ちゃん…?!」
飛鳥ちゃんは、もとの服を着るでもなく、部屋着とかパジャマになるでもなく、バスタオルを巻いただけで、出てきた。
「たっくん、これ飲む?これは叔父さんから許可もらってる」
飛鳥ちゃんは、冷蔵庫からノンアルコールビールの缶を2本出し、僕の隣に座った。
ビール…は、ノンアルコールだからまだいいけど、それよりも…
「あ、飛鳥ちゃん、その…」
「ん?ノンアルコールだから大丈夫だよ?」
「ち、違う…その…」
「ん?あー、たっくんはピュアだね。私、家ではこうだから。あまり気にしなくていいよ」
僕はなるべく飛鳥ちゃんを見ないようにしながら、缶を手にとって、開いた。
「乾杯!」
僕は一口飲んだ。苦かった。
「飛鳥ちゃんは、これ、苦くないの?」
飛鳥ちゃんは、それをおいしそうに飲んでいる。
「はじめて飲んだときは苦かった。今は、美味しく感じるかな」
飛鳥ちゃんは、これをどのくらい前から飲むようになっていたんだろう、と思った。
それでも、喉が乾いていたこともあり、僕も最後には一缶を無理なく飲むことができた。
飲んでいる途中に、僕はさっき気になったことを聞いた。
「飛鳥ちゃん、生徒会本部役員の補欠選挙って、いつくらいになるの?」
飛鳥ちゃんは、しばらく考えて言った。
「それは、わりと融通が効くはず。形式的には、選管は、立候補の届けを受け取ったら動くはず、なので、逆に、準備が整ったら届け出る、でいいと思う…」
飛鳥ちゃん、いったん言葉を切った。
「あ、反対派が先手を打ってきた場合は別だな…日程は向こうがコントロールできてしまう」
飛鳥ちゃんはバスタオル一枚の姿のまま腕組みして考える。
「…やっぱり、早めに動いた方が良いのかな?たっくん、みさちゃん、秋ちゃん…誰かが届け出を出して、有る程度の日程調整をこっちで握ればいいと思う」
…なるほど。
「…それより、たっくん、今日は、そういう話もいいけど…」
飛鳥ちゃんの表情が、なんだか色っぽさを増したような気がした…