君の人生、変えてあげる。 45
手前の脱衣所で服を脱いで、バスルームに入る。
「…朝まで、飛鳥ちゃんと2人か」
人生初の外泊が、まさかクラスメイトと2人きりとは思いもしなかった。
「飛鳥ちゃんは、何を考えているのだろう」
独り言を言いながら、僕はシャワーの蛇口をひねる。
…あくまで平静を装うとするけど、ものすごく緊張していた…
そして、下半身も別の意味で緊張してきた…いけない、いけない。
別のことを考えよう…飛鳥ちゃん、生徒会本部役員の選挙の話をしたい、って言ってたけど、秀雄さんと3人の場面ではほとんどその話は出ていない。
飛鳥ちゃんがお風呂から出たらその話をしよう。確か生徒手帳は持ってきたので規約を読んでおこう…
…持ってきたもの、で、僕は、あの小箱…コンドーム、も思い出してしまった。
僕は、選挙に頭を戻して、一生懸命モノの緊張を解いて、湯舟は使わずシャワーだけでバスルームを出た。
「お待たせ」
「全然。男の子はお風呂早いね」
飛鳥ちゃんはニコリと微笑んだ。
…まあ、湯船には浸かってないから、早いと言えば早いかもしれないけど。
「じゃ、私も」
飛鳥ちゃんは綺麗な黒髪ロングヘアを靡かせ、バスルームへと向かった。
僕は、ポケットから生徒手帳を取り出して、選挙の規約のところを読んでみたが、特に補欠選挙のことはあまり書いていなかった。
これは聞くしかなさそうだな…
僕はバスルームの方を見た。扉の向こうは電気がついている、その、脱衣所の向こうは…
僕は、水泳の着替えの時の飛鳥ちゃんの何も身につけない状態を、思い出していた。
今、当然、そういう状態なのだ。
あのときは、飛鳥ちゃん以外にも何も身につけずに着替えた人が多かったけど、今は2人きり。
しかも、あのとき一番最初に服を脱いだ飛鳥ちゃんの身体が、実は一番印象に残っていた。
そんなことを考えているうちに
「お待たせ」
飛鳥ちゃんがお風呂から出てきたようだ。