君の人生、変えてあげる。 444
「皆様、お茶をお持ちしました」
「ありがとう」
「いつも大変でしょう」
「やっぱりメイドさんいるってすごいよね」
茉莉菜ちゃんの家のメイドさんが紅茶を持ってきてくれた。
でも、結構若い人だ。
みんなメイドさんは珍しいのか、沸き立ってる。
「文芸部の連中とかすっごい興味持ちそうだな」
「文化祭でメイド喫茶とかやりたいねー」
胡桃ちゃんと奈緒ちゃんが続けて言う。
「メイドさん、お名前は?」
「私は陽菜といいます」
「陽菜はご両親も私のお家で働いてて、幼いころからずっと一緒に遊んでたんだよね」
茉莉菜ちゃんが言う。
「陽菜、今年の春に高校卒業して正式にうちに就職してくれたんだけど、その前も、その後も、ずっと変わらずお姉さんみたいな人だったんだよ。今でも頼りにしてるよ」
「もったいなきお言葉、ありがとうございます…とか、公式には言うのだけど、ここは大人がいないから、普通に、ありがとう、私も妹みたいに思ってるよ、かな」
本当の姉妹のようないい関係。
僕にもきょうだいがいたらこんな風になれたかなぁと思う。
「拓真さんは、お嬢様と同じクラス…周りは女の子ばかりですがすっかり慣れた感じですね」
「ええ、皆さんすごく優しくしてもらって、おかげでこういうところにも呼んでもらってます」
「お嬢様、拓真さんが転校していらっしゃったその日から話題にしていまして、大変な目に遭ってきた人だから、と心配しておられたんです」
「ちょっと、陽菜、それをたっくんの前で言わなくても…」
「そうですね。ところで、お嬢様、今日はお風呂はいつ頃入られますか?」