君の人生、変えてあげる。 442
そして、一部に女子クラスを設けるように要望しよう、ということはどちらも一致していることを確認した。
「それで、こういうのはどうだろう」
謝さんは一旦言葉を切って、そして言った。
「B棟を、男子が入らないようにする」
「B棟って」
僕は小声で隣の佳奈さんに聞いた。
「5組とか6組があるところ」
「なるほどねぇ」
勝代さんがうんうんと頷いた。
飛鳥ちゃんやみさちゃんも納得したような表情。
そして視線が僕の方に集まる。
言いたいことはなんとなく理解できた。
「そうですね。女子限定クラスを希望する人は5、6組に配置するということで…」
「ちょっと待って」
小春さんが手を挙げ、僕に向けていった。
「たっくん、これから、2年1組、3年1組、って今いるA棟にいるとして、もしB棟を通れなかったら、体育館とかプールとかがすごい遠回りになるよ」
「えっ、あ、僕たち、B棟を通ってた、んですね」
「そう!」
小春さんはホワイトボードのペンを取っていくつかの四角形を描いた。
「だから、謝さん、」
「レンと呼んでほしい」
「レンさん、B棟全体が男子立ち入り禁止ではなくて、ここは通り抜けられるようにして…」
謝さんもホワイトボードに近づく。
「うん、こういう議論ができたら、と思っていた」
レンさんはホワイトボードにB棟の教室や廊下といった案内図のようなものを書いていく。
「男子のいるクラスの子にも影響のないように、ここは大丈夫っていう移動ルートを作るの。校舎にも掲示するよ」
1階、2階、と書いていき、レンさんは赤のペンで一本の矢印を書いた。
「この案だったら、たっくんも、その後A棟にくる男子も、困らない、どう?たっくん」
僕はもう、その絵を、実際にプールや体育館とかに行った道筋に、頭の中で当てはめることができていた。
「ありがとうございます、はい、ぜひ、そのように、なるように、したいです」