君の人生、変えてあげる。 437
「そうなんですか」
そういうものがあると聞いたことはあるかもしれない。ただ、自分が使うなんて考えてもいなかった。
「保健室の稲村先生に言えば出してもらえるんだ…まあ、たっくんが直接行ったら不味いと思うから、その内私も…行こうかな」
景さんは僕の体を引き寄せるような動作をした。
「今日は、大丈夫、だから」
僕は改めて景さんに仰向けになってもらい、こんどはゆっくりと、景さんにも十分ゆったり感じてもらって、フィニッシュへと向かっていった。
「はあ…あはっ、3回もしちゃった…」
「なかなか会えなかった分ですね」
「ありがと…すごく良かった」
しばらくまったりした余韻に浸っていると、景さんが話し始めた。
「黒田…じゃないや、黒田さんと、この前初めて話した…なんかお互い怖いって印象があって避けてたみたい」
「そうなんですね」
「それで、黒田さんがたっくんのことを思って、心配してくれていることも聞いて、その一つ、反対派があとになって臨時生徒総会の開催を要求するケース、について前例を調べてみたよ」
「やはりあるんですか」
「星ヶ丘女子時代にはいくつか。そして、それを防ぐ手段としては、その前に生徒会長が臨時生徒総会を招集する。そこで決めたことは、一事不再議の原則により、生徒会本部役員の次回改選までは議題にならない」
「なるほど」
「具体的な手段は、2つ考えられる。選挙の直前に生徒総会を行って『交渉の大枠は新しい生徒会本部に任せる』と決める。または、選挙の直後に行って『交渉はこの方針で行く』と決める」
「どっちがいいんですかね」
「それは黒田さんと、あと相木とも話して決めたい。できればこっち優位な形で進めたいしね。たっくんも参加してくれる?」
「ええ、僕でいいなら」
景さんと勝代さん、どちらとも深い仲になった今、ちょっと緊張感のようなものを感じるのだが…
「彼女とはお互い口下手なんだって…たっくんとのことも言っちゃった…なんか、すぐに打ち解けられた」