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君の人生、変えてあげる。
官能リレー小説 - 学園物

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君の人生、変えてあげる。 42

 僕は車の、運転席の後ろに案内された。
 そして飛鳥ちゃんは僕の隣に座った。

「これから、高速に入って、都内に向かう」
 秀雄さんは、走りながら、そのように説明した。

 都内に車で行く、という発想は、なかった。

 話を聞いていると、秀雄さんは職場自体はこの辺で、この辺にも部屋があり、都内の部屋と行き来しているようだった。
「二つも部屋をお持ちなんですか?」
「そんなに珍しくもないよ」

 この事情は、飛鳥ちゃんが、後で秀雄さんがいないときに説明してくれた。
 秀雄さんは「投資用ワンルームマンションの勧誘」で都内にマンションを買ったが、思うように借り手が現れず、これは都内に用事があったりするときに自分で使った方がメリットが大きい、と判断したそうだ。

「ここは『アジアハイウェイ1号線』に指定されているんだ」
 高速の継ぎ目で、秀雄さんは「AH1」という看板を指してそう説明した。
「アジアハイウェイ?!って何ですか?」
「東京から、朝鮮半島、中国、東南アジア、インド、中東…と、ユーラシア大陸を横断して、トルコで欧州自動車道路 E80号線に接続する雄大な道がアジアハイウェイ1号線だ。もちろん、日本と大陸間は、つながっているわけではなく船だったり、38度線とか通れないところはあるけど、いちおう、この身近な高速が、形式的にはヨーロッパまでつながっているんだ」

「叔父さんは、世界いろんなところを旅行しているんだよ」
 そう、飛鳥ちゃんは耳打ちした。

「へぇ…仕事も関係あるんですか?ライターとか、ジャーナリストとか」
「いやぁ、仕事はそういうの全然関係ないよ。たまに長めの休みを取って旅行に行くんだ」
秀雄さんは嬉しそうに、楽しそうに旅行の思い出を語る。

「天空タワーの入場券は秀雄さんが譲ったと聞きました」
「うん、僕も一度行って、飛鳥ちゃんにも一度見て欲しいと思ってね」

「叔父さん、ありがとう。私も一度行ってみたいと思っていたの」
「僕も、行ってみたかったです。ありがとうございました」

「お礼は飛鳥ちゃんに言うことだな。拓真君を誘ったのは飛鳥だから」

「あ、改めて、ありがとう」

 僕は、改めて飛鳥ちゃんにお礼を言った。

 いろいろ話をしながら、車は都心を越え、だんだん天空タワーに近づいてきた。
 そして、タワーを右に見ながら車は高速を降り、しばらく街中を走った後、一軒家のレストランの駐車場に入っていった。
「夕食はここでいいかな?」
「あ、うれしい!ここ連れてきてもらうの何年ぶりかな」
 飛鳥ちゃんがそう言った。ここには来たことがあるみたいだ。
 そんなに気取った感じはないところなのだが…

 飛鳥ちゃんが
「フォークとかナイフは、外側から取るのよ」と耳打ちしてくれた。
 そう、コース料理を経験することになるのだった。
 
戸惑う僕に、秀雄さんは
「こういうところは初めてかな?」
「あ、ええ」
…コース料理とか、そういう店が初めて…というか、僕の場合、家族で外食ということ自体あまりなかった。
(父さんがいないこともあったかもしれないが)

「まあ、気にせず楽しむといいよ」
「はい」

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