君の人生、変えてあげる。 406
「…宿泊研修、以来だね」
胡桃ちゃんはややうつむいてそう言った。
「う…ん」
僕はそう答えた。実はあの晩は、気がついたら“みんなとやったんだな”と思った、という感じで明確な記憶が無い。
「最近は、海里とけっこう仲いいの?」
胡桃ちゃんは、特に責めるとかそういう感じは全くなく、普通にそう尋ねた。
「うん…そう、だね」
言葉を選ぶように、でもなかなか気のきいたことは思い浮かばずそのまま答えた。
「海里はいい子だもんね。優しくて、明るくて。それにあの胸がね」
「なんか、ごめん」
「謝ることなんてないよ。男の子だったら…当然だと思うよ」
小さいテーブルの向かいに座っていた胡桃ちゃんは、僕の隣に来た。
「でも、今は、独り占め、させて」
そう言うと胡桃ちゃんは僕にそっとキスをした。
軽く唇が触れた後、胡桃ちゃんはもう一度テーブルの方を向いて、自分の分のジュースを飲んだ。
「たっくんも、よかったらジュース飲んで。ごめん、なんか急いじゃって」
そう言いながら胡桃ちゃんは僕の方に身体を預けてくる。
僕もコップを手に取りジュースを飲む。
胡桃ちゃんがコップを置いた瞬間を待っていた。
僕も隣にコップを置いて、そっと胡桃ちゃんの身体を抱きしめた。
「今は、ゆっくり、2人で楽しもう」
「たっくん…」
「胡桃ちゃんと2人きりになれるのを、僕も待ってたんだ」
僕達はどちらからともなくキスした。
今度は唇が触れ合うだけでなく舌も絡ませるキスを。
そして、互いにブラウスのボタンを、一つ一つ外していった。
下着も取り去り、お互い上半身裸になって抱きしめあうまでに時間はかからなかった。