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君の人生、変えてあげる。
官能リレー小説 - 学園物

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君の人生、変えてあげる。 37

「たっくんもやればできるんだよ。英語ってそういうものだと思う」
隣の奈緒ちゃんが笑顔で言う。
…大したことではないけど、大きな一歩だと思った瞬間だった。

授業は進み、いよいよ4時間目の総合の時間を迎える。

「では、たっくんが生徒会本部役員に立候補するに当たり、クラスの有志で応援したいと思います。今日のホームルームの半分を、その応援などのことについて話し合う、で異議はありませんか」
「異議なーし」
 そんな声や、拍手が巻き起こる。

「たっくん、どの役職に、立候補するの?」

 胡桃ちゃんが聞いた。
 そうか…実は、それを考えていなかった。

「立候補できるのは…どの役職があるのだっけ?」

 僕が言うと、すかさず、綾ちゃんが答えた。
「現在、副会長1名、書記3名、会計2名の空きがある」
「それぞれ、どんな違いがあるの?」
「規約に書いてある言葉はある。しかし、これは実情を知っている人に話してもらう方がいいだろう…操…」

 みさちゃんはすぐに続けた。
「会計はお金を扱う、ってこと以外は、基本的に変わりないよ。書記といっても別に書くしかないわけではなくて」
「じゃあ、書記かなあ」

「たっくんは、副会長に立候補するべきだと思うよ」
 今まで黙っていた茉莉菜ちゃんがいきなりそう言った。
「それはなぜ?」
 飛鳥ちゃんが司会として聞いた。

「…実は、たっくんがどうこう、ではないんだけど『将来的には男子を入れよう』っていう理事会の方針を快く思わない人たちがいて…」
「まさに、うちのの姉がそう」
 秋ちゃんが補足した。
「選挙になると、そういう人たちが候補者を出してくるかもしれない。書記だと、たっくんが当選して、他の2人が反対派、とかだったら、反対派が勝ったことになる。お母さんも、生徒の反発が強いなら、ちょっとこの話すすめるのは当分難しいだろう、っていうようなことを言っていた。だから、たっくんには、定数1の副会長に立候補して、対立候補を明確に破ってほしい、と思う」

「あの、その場合でも他の役職に、反対派が定数いっぱいに立候補したら、たっくん反対派に取り囲まれるんじゃ…」

 沙羅ちゃんが心配そうに言った。

「もし、そうなったら、私立候補する。どっちにしろ次回改選で立候補しようと思っていたし」
 みさちゃんが、決然と立ち上がった。

「おおー、操、言うじゃんっ!」
律ちゃんが声を上げる。
「さすがカリスマ生徒会長の妹だね〜」
そう言う歩ちゃん…純さんってカリスマ?そんなにすごい人だったの?

「…それなら私も手を上げようかな。反対派の姉を説得できるのは、一番近い存在の私だろうしね」
窓際の席で腕を組んで、秋ちゃんがニヒルに微笑んだ。

「みさちゃん、秋ちゃん、ありがとう。でも、秋ちゃんは、直前まで、少なくともお姉さんの前ではそれは黙っててくれないかな?」

 飛鳥ちゃんはそのように言った。
「何で?」
「秋ちゃんのお姉さんは、秋ちゃんがうちに男子が来たことをどう考えているかはまだ知らないんだよね」
「うん」
「それなら、お姉さんから、反対派の情報が入るかもしれない。お姉さん一人を説得できたとしても、反対派がいなくなるとは、まだ分からないじゃない」

「そう。実態はよくわからないんだけど、反対派の中には“男子が来るのに反対”という人と“理事会に反対”という人と、大きく分けて二通りいるらしい…だから、たっくんは『理事会派』と思われないようにするのがいいと思う」
 茉莉菜ちゃんがそう補足した。

「というわけで、秋ちゃんには、立候補締め切りまで、反対派の情報をたっくんや私に伝えることを、お願いしたいの」
「うん、なんかドキドキしてきた」
 秋ちゃんは改めてニヒルな微笑みを浮かべた。

 飛鳥ちゃんはそう言って、黒板にこう書いた。

『彼を知り己を知れば百戦して殆うからず』

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