君の人生、変えてあげる。 359
飛鳥ちゃんの言う「あそこ」とはやっぱり以前勝代さんが言っていたレンさん、という人のいるグループなのだろうか。
しかしあんな活動を行っていたとは。
しかも僕らのいる校舎に聞こえるかのように。
「ただ、あのグループでも子愛さんは浮いていそうな雰囲気だな」
「確かに、あまり近くに人が来ないね」
僕たちも、幸いというか、多分子愛さんには気づかれずに、やや遠目に通り過ぎることができた。
その時、スマホが振動した。
勝代さんからだ。
“作戦会議、明日の夕方からどう?”
僕は速やかに、
“大丈夫です”
と返信した。
予想より早く訪れたそのときに、僕はさらに身を引き締めるような思いで臨む。
場所は勝代さんが指定してくださるようで、授業後に2人で待ち合わせの約束をした。
何事もなく1日が終わり、そのときを迎える。
「ありがとう、一度2人でじっくり話してみたかったの」
「僕もです」
「それで、明日なんだけど、これ読んでおいて」
勝代さんは、僕の手に紙を押しつけるとすっと暗い中に消えていった。
僕は紙をそっと開いた。
いくつか書いてあった。その一項目目を読んだ。
“見つからないように移動するため、女装する”
女装?!
その時、スマホが振動した。
歩ちゃんからだった。
「部長から、変装手伝うように指示があったよ」
ニヤリ、のような絵文字とともにそんなメッセージが届いた。
…女装、という文字に動揺してしまい、その先をはっきりと見ないままメールを閉じてしまった。
これ、誰かに相談した方がいいのか。
いや、勝代さんとの約束だからそれに任せるべきだろう…
翌日。
教室に入った僕に、歩ちゃんと鈴ちゃんが手招きする。
いったん外に出て話を聞く。