君の人生、変えてあげる。 357
黒田先輩……いや、勝代さん、と呼ぶべきだろう、彼女が腕組みして考える。
「君と仲良くなるなら話は別なんだけどな」
「えっ?」
「クラスの子には内緒に…できるかどうかはわからないけど、作戦会議の名目で2人で会う機会があればなぁ、ってね」
どちらかというと物静かな感じの勝代さんがそのようなことを言うとは意外だった。
「くろ…いえ、勝代さん、それは、こちらとしても、うれしいことなのですが、場所とか、ってどう考えますか?」
内緒に、ということは、ばれにくいところを考えないと、と思った。
「もちろん、2人になれる場所は探さないとね。もしそうなったときにはいろいろ考えてるから大丈夫だよ」
「そこでも策士なんですね」
「私って文芸部以外の一年生の子にどう見られてるのかな」
お互いに連絡先は知っているのでそのときが来たらまた、と言って別れた。
“どう思われているのかな”
これを宿題と思って、聞いてみることにした。
でも、ただ“黒田先輩のことってどう思う?”とか訊いたら首をかしげられてしまいそうだ。
その“策“を考えながら寝た。
翌日 9月26日 金曜日。
9月ももうすぐ終わり、ちょっと肌寒いと感じた。
転入して初めて長袖のワイシャツに袖を通した。
「おはよ、たっくん」
「おはよう」
校舎に入る直前、ひーちゃんに声をかけられた。
「昨日は部長とお話してたでしょ」
「うん」