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君の人生、変えてあげる。
官能リレー小説 - 学園物

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君の人生、変えてあげる。 354

語り続ける柚乃さんは寂しそうな微笑みを浮かべていた。
男女間でも殴り合って友情が生まれたらいいのにって思っているようにも、攻撃的すぎる妹を案じているようにも思えた。
でも、一転して明るい表情になって語り続けた。

「でもね、子愛ったらそれで負けてなかった。中二の終わりから空手を始めたの。母には受験勉強があるから一年先にしなさいって言われてたんだけど父の協力で強引に始めちゃってね。めきめき強くなって、ここへの入学が決まった日、親友の娘が不良二人に無理やり口説かれてたのを殴り倒して救出してきたのよ」
「なんだか…すごい人ですね」
「でしょ?子愛は空手部のホープなの」

 子愛さんに道着。それはすごく似合っていそうで、それをまとって蹴りや突きを繰り出す子愛さんが容易に想像できた。
 それでも、僕は中学時代の友人からいろいろ聞かされてちょっと空手の知識はあった。
 「あの、ここの空手部って、伝統的な方ですよね。フルコンタクトではなくて」
 「おっ、詳しいんだね。ここも、子愛が習っている道場も、伝統的な空手の、松濤館の流れをくんでいる」
 「伝統的な方だと、寸止めだから、どちらかというと護身向けで、殴り倒すとかとは相容れないような気がするのですが」
 「それは、寸止めにするかしないかだけの違いで、自分や仲間が危害を加えられようというとき、身を守るために行うことは躊躇すべきでない、って子愛的には考えているみたい」

 「あの、子愛さんの話、長くなるなら、こっちは出直そうか」
 これまで黙っていた祐紀さんがぽつりと言った。
「あっ!ごめんね祐紀、私ばっかり関係ない話しちゃって」
「いやいや、柚乃の話も興味深かったからね。何とかしてお互い分かり合えないものかと思うよ」
「うん…」

ちょっと縮こまる柚乃さんに、祐紀さんは余裕の笑顔で言う。

「勝代、どうしようか」
「祐紀に任せるよ、時間はまだある」

 「あの、祐紀の話も最後は子愛に繋がってる、と思ってるから、祐紀の話、お願いします」
 しばらく次の言葉を考えていた柚乃さんは遠慮がちにそう言った。
 「うん」
 祐紀さんはにこやかにうなずいた。

 「まずは、簡単に挨拶。今回、生徒会本部役員選挙に、酒本くん達と共に立候補するこたになりました。よろしく」
 「ありがとうございます」
 「本当は、私は女子校がいいと思っているんだ。でも、君たちが女子クラスもあるようにする、っていう方向を出しているから、君たちと行動する方が現実的かな、と思って、勝代の誘いに乗ったんだ」
 「そうだったんですか」
 「今から話そうと思うのは、反対派のうち、子愛さんと組む人たちがいるとすれば、それは誰のところなんだろう、という話」
 祐紀さんはひと息ついた。 
 「反対派をまとめている、というかまとめようとしている、というか、少なくともまとめようとしていると外から見られている人は、レンさん、っていう」
 「名前ですか?」
 「苗字は謝、っていうけど、本人はあまり苗字は言われたくないらしい」
聞き慣れない苗字に海里ちゃんが首を傾げた。
確かに…謝??

「その人はもしかして中国、それか台湾の人ですかね?」
尋ねたのはマギーさんだ。
うん、彼女がいるんだから、他に外国出身の人がいたっておかしくはないはずだが。

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