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君の人生、変えてあげる。
官能リレー小説 - 学園物

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君の人生、変えてあげる。 352

 「私たちは、すごく小さいときに会ったことがあるんだって。親いわく」 
 柚乃さんは照れたように笑った。 
 「ごめん、全然それは覚えていないんだけどね」
 「いえ、こちらこそごめんなさい。僕も覚えてないです」
 「君の状況は、ある程度伝わっているよ」
 そう聞いて、最初の高校をやめた話だろう、とすぐ思った。
 「ええ、その節は、大変ご迷惑をおかけしてすみません」
前の学校の話は、向こうでは僕が一方的にドロップアウトしたという風に伝わっていたそうだ。
それで父さんも親戚一同も僕を罵倒するような言い方になっていたと柚乃さんは振り返る。

「私はそんなことないと思ったけど、あの中じゃ反論できる立場じゃなかった」
「ネアさんは…」
「あの子は向こうに近い考えだから、この前みたいになったのよね…」

 柚乃さんは少し食事を進めてお茶を飲んだ。僕も食事を進めた。
 「博一おじさんのお葬式…学校で来られなかったんだよね」
 「はい」
 「そういう厳しい学校だから、っていうのは、みんな理解していた。だから君がお葬式にいないからどうこう、って言った人はいない。けど、拓真君があの高校に入ってもう安泰だ、将来楽しみ、のようなことを言った人たちはいた」
 「ますます、すみません」
 「ええと、そういうことを言いたいんじゃなくて、拓真君が辞めたことで、その期待が同学年の子愛に全部行ってしまった。ただ、いい大学に…今どきそんなのどうか、って、思うけどさ…行くように、って言われるようになって、子愛はやりたいことも言えなくなっていった」
彼女も圧力を受けていたのか…柚乃さんの話は続く。

「あの子は姉の私が言うのもなんだけど、積極的で成績も良いしスポーツもできるし顔も可愛い。それに上昇志向も強いから、周りの期待も強い。私以上に期待されてると思う。」

そこまで語る柚乃さんはどこか寂しそうだ。もしかして…子愛さんの事が羨ましいのかもしれない。

「私はこの通り、女にしては背が高すぎるし、あの子ほど優秀でも無いしね。」

すらりと綺麗な長身で軽く肩をすくめた柚乃さんは、ちょっとおどけたようにも見えた。彼女なりの気遣いなんだと思う。

「子愛は積極的で自分から前に進む子だから、子愛への期待が大きくなりすぎた事もそれが子愛の負担になっちゃってる事も、周りの人たちはまだちゃんと理解していないのよ。」
「柚乃さん…」
「ごめんね拓真君。子愛はああいう子だから、今の時点で無理に止めるともっとこじれると思う。だから堂々と戦って。選挙後の子愛へのフォローはちゃんとする。」
「はい。」
「あの…柚乃さん、ちょっといいですか?」

横から質問する声があった。海里ちゃんだ。

「どうしたの?」
「失礼な質問だと思います。でも子愛さんは男の人そのものも嫌だと思っているようなのですが…何かあったのでしょうか?」

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