君の人生、変えてあげる。 350
「今日は一緒の子いないの?」
歩ちゃんがマギーさんに尋ねる。
「ネアはあまり他とつるまないのよ。充代は体調悪くて今日はお休み」
「えっ」
みっちゃんが休み…それはそれで心配だ。
あのクラスはいろんな意味で気になるので、心労がたたってとかじゃないといいけど…
僕はそういう心配をとなりに来ていた飛鳥ちゃんに小声で言ってみた。
「そうよね」
「なんか探りをいれられないかなあ」
「うーん、5組からならなにか分かるかも。可憐に連絡取ってみる」
「たっくん、ヒサシブリ、またmixed bathingしたいネ」
ルイちゃんが追いついてきて飛鳥ちゃんと反対側の隣に来てそう言った。
「ええっ!コンヨクしたなりか?!」
「シュクハクケンシュウのときだよ、マギー」
“そんなこと大声でしゃべったら変に思われる…”と僕はちょっと思ったが、幸いここはまだ1年1組から4組がある廊下だ。まわりの人も事情は分かっている。
しかしこの2人、ルイちゃんはハーフだが外国の血を引く者同士で仲はかなり良いみたいだ。
飛鳥ちゃんが一度咳払いしてから言う。
「たっくんが他のクラスの子にも受け入れてもらえるよう交流の場を作ったんだ。それのひとつ」
「んー、残念。私も混ざりたかったネー」
「2ニチメは、まざれたよ」
「えっ、ああ、そういえば、きいたなりネ。6くみの、くうきよんで、いかねかった」
“空気読んで、って、今空気読んでないじゃん”と、僕は思った。
「そりゃあ、オノコのはだか、みたいにきまってるじゃろ」
まったくよくわからない人だ。
隣で茉莉菜ちゃんが苦笑いしていた。
つられて何とか笑ってみる。
…まあでも、別に苦手な人ではないからいいんだけど。
「それより」
マギーさんが少し真面目な口調になる。
「何?」
「ネアが生徒会選挙に立候補する話は聞いたよね?私と充代は止めるつもりだった」