君の人生、変えてあげる。 347
「クラスだとやはり男子は歓迎されない感じなんですか?」
「そういう雰囲気一色、ってわけでもないんだけど、びっくりはされると思う」
「あと、ここの図書館って行ったことないんですが…」「図書館はみんな本読んでるだけ、っていう感じで回りはあまり気にしてない」
景さんは ブチ を撫でながら言った。
うちのクラスの図書委員…誰だったかな、今度教えてもらおう。
…それと、心配事はもう一つ。
「景さん…自分のクラスに居心地悪いとか、居場所がないとかってわけでは…」
「ふふ、たっくんにまで心配されるか…それは大丈夫だよ。そんなことがあったら生徒会になんていないよ」
「ですよね」
「相木がいるから…アイツがいなかったら私はまだ塞ぎ込んだままだったな」
その苗字からクラスメートを思い出してそこからその姉の生徒会長を思い出すのに、恥ずかしながら二、三秒かかってしまった。
「会長さん、同じクラスだったんですね」
「そう。相木が声を掛けてくれたんだ」
「生徒会本部役員にならないか、って言われたんですか?それはいきなりはとまどうのでは?」
「最初は何言ってんだコイツ、って思ったよ。でも、話していくうちにアイツの思い描いていることがだんだんわかってきて、こんな私でも良ければ力添えするって、ね。相木には感謝しかないよ」
「それで、選挙に」
「うーん、去年はそこまで波風が立ってたわけじゃなかったから…私は無投票当選みたいなもの」
景さんはいつしか下に降りてきていたトラを撫でながら柔らかく言った。
そうして景さんはゆったりした表情で夕日の方を見た。
もう熱くない、秋の気配の夕日。
猫たちに囲まれて景さんとのリラックスした時間。このような雰囲気は…比較することではないのだけど飛鳥ちゃんと朝を迎えて“家族だったら”みたいに思ったとき以来かも知れない。
しかも、多分困難なくここまで生きてきたような気がする飛鳥ちゃんではなく、僕と似たつらいことを通ってきた景さんとの時間。