君の人生、変えてあげる。 337
「そういってもらえるとよかった…そう、寮の部屋を使える話だけど」
ちょっと、おとといの晩に考えたことが頭をよぎったのは誰にも言えない。
「よかったら、今日の放課後にでも、案内するよ」
「ありがとうございます…」
ここで僕はちょっと口ごもった。自転車を降りるとき、チャットアプリに数件のメッセージがあったのに気づいたのだがまだ読んでいなかった。何か打合せが入った可能性がある。
「ちょっと、状況を確認してから、改めてお願いします」
「私は寮に住んでるから、何時でも大丈夫だよ」
景さんと別れ教室に向かう途中で、スマホを確認する。
飛鳥ちゃんや胡桃ちゃんから連絡…
『たっくんの出馬が正式に決まったから改めて会議を…お昼と放課後とどっちにしよう』
予想通り打ち合わせの連絡。
景さんとの約束を予定通り果たすならこちらはお昼にしようかな…
そう思いながら教室へ。
「おはよう、たっくん」
「おはよう…飛鳥ちゃん、集まるのは、僕はどっちでもいいけど、集まれるなら早い方がいいから昼休みに集まれるなら昼休みにしよう」
「うん。私もそう思う。その話グループチャットの方にも書いといた方が早いかも」
立候補予定者のグループチャットがある。僕はすぐにそうした。
「あと、副会長一人以外の空きは、書記三名、会計二名だよね」
「…あ、うん」
「このままだと枠溢れちゃうから…今回は、先輩に支持を拡げるためと、二年の先輩は来年三年だし、とか考えると、二年の先輩に優先的に出てもらって、今回でられなかった人は来年の通常選挙の予定で、って感じで考えてるんだけど、たっくんどう思う?」
「えっ、うん、ああ、そうだね」
僕のところ以外の枠のことは長いこと忘れていた。
「ねえ、たっくん、アス」
副会長の妹、秋ちゃんが近づいてきた。秋ちゃんとは久しぶりに話す気がする。
「姉、辞めてもう一回選挙に出るかも知れない?」
「どういうこと?」
「『もし、私以外全員共学派になったら居づらいでしょ』って表向きはいってる。それでも、それだけじゃなくいろいろ考えていそう」
「いろいろ?」
「姉も共学反対が有利じゃないのは理解している。だから、ある程度名前が知られている自分が立って票を集めよう。とか、副会長の枠が二人になると、たとえ一位にならなくても二位でも当選して存在感示せるとか」
「ということは、枠が一つ増えると」
「でもお姉さんとはなるべく話し合って、向こうの気持ちもよく理解して進めていきたい。こっちだって性急に共学にしようとは思っていないんだから」
「うん…お互いにいがみ合うのはよくないよね」
昼休みにもこのことを中心にさらに話し合いをする。