君の人生、変えてあげる。 331
“給へ”とは、どんな風に日本語を覚えたんだろう?と不思議に思った。
そして、その苗字は、スマホ時代の前の携帯時代によく耳にした会社を思い起こさせるものだった。
「あ、あの、もしかして、スウェーデンから来たのですか?」
「そう、私の親父はスウェーデン、お袋はデンマーク。でも日本暮らしも長いよ」
やっぱりそうか、それにしてもやっぱりちょっとこの子日本語は流暢だけど不思議だ。
「たっくん、4時間目始まっちゃうよ!」
後ろから飛鳥ちゃんの声。
「そう、僕、行かなきゃ」
「君、面白そうと思っていた。昼休みまた来て」
彼女は手を振ってその場を後にした。
4時間目の授業が終わり、クラスの子数人とお昼を食べに食堂に向かう。
さっきの彼女、マギーだっけ…いるのかな…?
「よっ、色男!」
彼女はいろんな意味で初めて接するタイプの子だ。
歩ちゃんや由佳里ちゃんもビックリしている。
「や、やあ」
「あなたがマギーさん?」
「噂には聞いてたけど…」
「よしよし、よく来たな!」
僕もちょっと驚いたけど返事した。マギーも元気よく返事してくる。何だろう、太陽みたいだ。
でもそれより気になるのは横にいる娘。僕の事を敵でも見るような目で見ている。
「おい、マギー!」
「ネアの男嫌いは相変わらずよのう?」
背は僕と同じくらいか、ちょっと高いくらい。多分、なにもしゃべらなけれはかわいいほうに入ると思うのだけど、その音程や語調、ちょっと一歩遠ざかりたくなるような雰囲気。
「お前がこいつを招き入れたのか?」
「さよう。面白きことと思いて」
「そもそも何で凉星に男子がいるのよ!」
「んー?ネアは全然ご存じなかった感じ?この二学期から転入してきた男の子だよ、酒本拓真くん」
「っ…!?」
身に纏っているオーラが怖い。
できればここから逃げたい。あの頃の悪夢がぶり返してきそうだ。
「だいたい男なんてここに必要ないでしょ」
「何?たっくんの存在全否定するつもり?」
彼女の胸ぐらを掴みに行きそうな勢いで海里ちゃんが突っかかる。