君の人生、変えてあげる。 328
有佳ちゃんが僕の走った方向にボールを投げる。
前線に出されたボールになんとか追いつくと梨奈ちゃん、文乃ちゃんのディフェンス。
「たっくん、こっち!」
ゴール下に走る海里ちゃんが手をあげる。
2人の間のスペースを突いて海里ちゃんへパスする。
海里ちゃんは受け取ったボールを直ちにゴールへ。しかし、リングに跳ね返って、こちらへ。
「たっくん!」
僕は反射的にボールを受け止めた。そして、走ってきた有佳ちゃんにパス。そして、有佳ちゃんは直ちに見事にゴールにボールを沈めた。
僕たちのチーム、二点先取。
凛ちゃんたちのチームもすぐに反撃に出る。
沙羅ちゃんと凛ちゃんの速攻、両サイドでのボール回しについて行けずにあっという間に同点。
その後も点を取っては取られ、という一進一退の状況が続く。
コート後方の僕が前線の海里ちゃんにパスを出す。
海里ちゃんはドリブルで文乃ちゃんをかわし、ゴール下に走る天音ちゃんにパスを出す。
その瞬間…ボールを追った天音ちゃんと梨奈ちゃんが激突。
2人ともうずくまってしまう。
試合は一時停止になる。
「大丈夫?」「大丈夫?」
僕も含め、他の試合に関わっている人以外の多くの人が天音ちゃんと梨奈ちゃんのまわりに集まった。
「大丈夫?痛む?保健室行く?」
菜々子先生も二人に近づき、そう声を掛ける。
「ごめん、大丈夫…」
梨奈ちゃんはしばらくしてから立ち上がった。
普通に歩けるみたいで、問題はないように見える。
しかし心配なのは天音ちゃんだ。
うずくまって「痛い…」と小さく言っているように聞こえる。
「保健室に連れて行ってあげて…誰か肩貸してあげて、ね」
菜々子先生が指示する。