君の人生、変えてあげる。 327
一クラスの人数でここに立つと結構広く感じた。
「では、今日からバスケの授業になります。それではチームなのだけど、適当に5〜6人に分かれてください」
菜々子先生の言葉でみな動いた。僕はさっきの流れ通りに有佳ちゃんがコーチになるチームに来た。
僕のチームは有佳ちゃん、海里ちゃん、操ちゃん、天音ちゃん、それに柚希ちゃんというメンバー。
「なるべく戦力が均衡するようにね」
奈々子先生が言う。
2つのコートを使って試合を行う。
審判やスコアの記録は試合待ちのチームの人で分担して行う。
体操して、練習試合へ。
バスケは、中学の授業でやったことがあるからルールは分かっている。でも、得点したことは一度も無かった、というか、まわりのクラスメートを見て、僕が得点できるような気がしなかった。
でも、今は体力的に釣り合ったクラスメートなんだ。得点できるかもしれない、というか、得点できないと、恥ずかしいかもしれない。
僕たちは二番目に試合の番が回ってきた。
相手は沙羅ちゃん、凛ちゃん、純菜ちゃん、梨奈ちゃん、文乃ちゃんに海咲ちゃんという6人のチーム。
「たっくんがいるのかぁ」
「お手柔らかにね」
「それはこっちが言うセリフかも、沙羅ちゃん」
それぞれのポジションにつく。
最初のジャンプボールは沙羅ちゃんと有佳ちゃん、身長面では沙羅ちゃんの方が高く、ボールはあっさりはじかれ凛ちゃんの手に。
ゴールへ向けて走り出す凜ちゃんを、有佳ちゃんが急ぎ阻止しようとするも、足の速い沙羅ちゃんがパスを受けてゴールに迫る。
しかし沙羅ちゃんは、ゴール前で守る柚希ちゃんを回避することができなかった。ボールは柚希ちゃんから有佳ちゃんへパス。
「たっくん!前へ!」
正直、どう動いていいかよく分かっておらず、ただボールに向かって行っていた僕だったが、有佳ちゃんの声に、相手陣地へと走り出す。