君の人生、変えてあげる。 318
エアコンは入っていたが、僕も、香里ちゃんも、もう汗びっしょりになっていた。
「うっ、うあっ、イクよ!」
「あ。わ、私も!」
僕は、僕の分身を、香里ちゃんの中に送り込んだ。
僕はそのまま、香里ちゃんの上に折り重なるように崩れた。
「はぁ、はぁ……たっくん…」
「香里ちゃん…良かった…?」
「とっても…私、幸せ。ありがとう、たっくん」
汗だくになりながらも、最高の笑顔を香里ちゃんは見せてくれた。
十数分して、ようやく動ける気分になると、香里ちゃんからお風呂使っていいよ、と言われたのでありがたくそうさせてもらった。
汗を流す。心地いい気分だ。
気がつくと、くもりガラスの向こうに人影がいて、扉を軽くたたく音がした。
「たっくん、入ってもいい?」
「もちろん」
香里ちゃんがタオルを持って入ってきた。
「ふたりではちょっと狭いかもだけどごめん」
「そんなことないよ」
香里ちゃんは僕の背後に立つ。
「たっくん、そこに座って」
「ああ…うん」
プラスチック製の緑の椅子を指さす。
「たっくんの背中流すね」
「わざわざありがとう」
「いいよ…昔はお父さんに毎日してたんだ。久しぶりだなぁ」
ここは、確かに大人一人と子供一人なら余裕でいられる感じだった。
「何歳くらいまでお父さんと入っていたの、とか聞いていい?」
「うん」
香里ちゃんのタオルで背中がこすられはじめた。
「…でも、あんまりはっきりした境目はなかったかも。ただ、一緒に入るのが少なくなったのは、二人では狭く感じるようになってから」