君の人生、変えてあげる。 313
香里ちゃんは僕をその場の座布団に座るように促し、香里ちゃん自身も近くから座布団を引き寄せて、僕の隣に座った。
「アスと、どこまで“進んだ”のかは、分からない。それでも、宿泊研修でたっくんと同じ部屋になれた人たちとは結構仲良く…なったんじゃないの?ちゃんとは伝わってきてないけど…」
香里ちゃんの言葉には多少含みがあったけど、何を言いたいかは分かった。
それもこれも、全部本当のことだ。
「うん、仲良くなれた」
「そう…」
「香里ちゃんが望むなら、僕も、香里ちゃんと、みんなと同じように…」
言葉が遮られた。
香里ちゃんが身を乗り出し、唇を重ねてきた。
その勢いが余って僕は押し倒されてしまう。
香里ちゃんは、長く、苦しそうですらある様子で、一生懸命に、唇をつけ続けている。僕も少し苦しいけど応えた。
「はっ、はあっ!」
あまりに息が苦しくなったのか、香里ちゃんは唇を離すと大きく、音が聞こえるくらいに呼吸した。
「わたしもずっとたっくんと仲良くなりたかった」
香里ちゃんはそのままの体勢で話し始める。
「いろいろ雰囲気変えたりしてアピールしようとしたことも、あったけど、でも、アスのこともあるし、見ているしかなかった…」
僕はその言葉一つ一つ聞きながら香里ちゃんの背中にゆっくりと両手をまわしていった。
「たっくん…」
「今だけは、飛鳥ちゃんのことは考えなくていい」
両手を背中から腕、そして香里ちゃんの頬をそっと撫でる。
「香里ちゃんはどんな姿でも素敵だよ。いつも目で楽しませてくる」
今度は自分から唇を重ねる。
「ありがとう」
ちょっと唇が離れて香里ちゃんは短くそう言い、そしてまたどちらからともなく唇を合わせ、さらに舌も絡ませた。
僕はそうしながら、手をだんだん香里ちゃんの体の方へと移していった。
「たっくん…こんなに近くなれた…」