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君の人生、変えてあげる。
官能リレー小説 - 学園物

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君の人生、変えてあげる。 312


 名前の通り大阪発祥の航空機メーカーで大戦の少し前に岸和田で創業したそうだ。
 今でも当地の工場と、併設の貝塚飛行場があって、工場部分は岸和田市、飛行場部分は貝塚市と、接続部分で跨るという一風変わった立地。
 こっちの工場は戦後に新設されたものだけど、あそこで働いている人は結構多いみたいだ。

 「うん、まあものがものだから、秘密は多くてあんまり話してくれないけどね」
 「すごいなあ」
 僕は模型を見ながら、その壁の向こうの工場に想いを馳せた。
 「やっぱり、香里ちゃんも将来は大航目指してるの?」
「一応そのつもり。国を動かせるようなでっかい仕事って、すごくやりがいあっていいよね」
「そう思うよ」
「まあ、親のやってることは理系とかコンピューターとか詳しくないといけないから、ちょっと難しいけど。大航も入るのも厳しそうだけど、やってみるだけやってみたいな」
香里ちゃんならきっとできるさ、そう心の中で思った。

「それより、たっくん、さ」
「うん?」
「アスとは、どこまで進展してるのか、って…」

 僕は一旦視線をそらした。どこまで、どうやって、説明していいものかどうか迷った。そもそも“進展”って僕と飛鳥ちゃんの間で当てはまるのかどうか、ということも迷った。
 「ええと…ふたりで学校の外で会うことは、ある…」

 香里ちゃんは、ほほえみ続けつつ、ちょっと真面目なような、寂しげなそうな表情を浮かべている。

 「別に…言葉を選ばなくてもいいから」
気丈に微笑む香里ちゃん。
それを見て本当のことを言っていいのかどうか迷う。

「まあ…この前もその、デートっていうのかな、はしたかな」
「ふぅん」

香里ちゃんは柔らかな笑顔の中、僕に言う。

「たっくんとアスのこと、応援したい。でも、その前に、私とも……もっと仲良くしてほしい」

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