君の人生、変えてあげる。 302
「そんなことは思ってないよ。飛鳥ちゃんみたいな子がいなかったら僕は自分から行動を起こすことはなかったから、多分まだ馴染めてないと思う」
むしろ今まで同性の友達もそれほどいなかった。
「きっとたっくんともっと仲良くなりたい子がまだまだいるはずだから」
「僕もそうしたいと思ってる」
「ありがと…でも、今日は私と…」
飛鳥ちゃんが肩を寄せてきた。
その時
“グウゥ”
僕のお腹が鳴った。
そう、腕時計を見るともうお昼過ぎだ。
「駅の方に戻るけど、しらす丼の店があるけと、そこ行く?」
「うん」
僕達は、駅の方に戻ってお昼にした。
その店は、車で来た人も多いようでそこそこ人が入っていた。
店の奥の2人掛けのテーブルが空いていたので、そこに飛鳥ちゃんと一緒に座る。
客層は年齢高めな感じ。少なくとも高校生2人でやってくる店ではなさそうな気がした。
「ここも叔父さんのおすすめ」
「そうなんだ」
「港も近くて新鮮な魚がたくさんとれるんだって」
改めて周りのテーブルを見ると、刺身とかいろいろおいしそうな魚の料理が並んでいた。
叔父さんのおすすめ、ということは、飛鳥ちゃんは叔父さんとここに来たのだろうな。やはりしらす丼を食べたのだろうか?
そのうち、注文したしらす丼が運ばれてきた。
「「いただきます」」
僕と飛鳥ちゃんは同時に言って食べ始めた。
…うん、これは僕の中の「しらす感」が変わった。
スーパーで売られているものではここまでの美味しさは感じられないだろう。とれたてを調理して食べるのに勝るものはない。
「美味しい」
「でしょう?」
「やっぱり新鮮な方がいいんだね」
「たっくんに気に入ってもらえたら嬉しいな」