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君の人生、変えてあげる。
官能リレー小説 - 学園物

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君の人生、変えてあげる。 31

「じゃあ“ハッピーバースデー”を」

 飛鳥ちゃんが言って、全員でハッピーバースデーを歌ってくれた。
「ろうそく、消して」
 歌い終わるのと同時に胡桃ちゃんが言った。
 ケーキの上の16本のろうそくの炎が僕の間近で揺れている。
 僕は、息を思い切り吸い込んで、吹き出した。
 一度で消えた。男子にしては少ない肺活量だが、一息で消せた。

「英語では…こういうときにメイク ア ウイッシュ、とか言うけど、たっくん、誕生日に、願うとしたら、何?」
 飛鳥ちゃんが僕の近くに歩み出てそう言った。

「そうだね…みんなと一緒にいられるこの幸せな時間が、ずっと続いていけるように願う、かな」
あまり気の利いた言葉ではないかもしれない…というか、他に思い浮かぶことがなかった。

「もちろんだよ。たっくんが笑顔でいられる場所を、作るのが私たちの役目だから」
茉莉菜ちゃんが言う。
「ありがとう」
改めて、みんなに感謝した。

「ケーキ、食べていいかな?」
「どうぞ!」
笑顔でそう言ったのは黄色のカチューシャが目立つ遠野楓(とおの・かえで)ちゃん。
「楓ちゃんが買ってきてくれたんだね、わざわざありがとう」
「いやー、買ってきてはいないけどね」
「え?」
「楓ちゃんの家はケーキ屋さんなんだよ」
栞ちゃんが言う。

 ケーキは、一つだけでなく、全員が一切れずつ行き渡るくらいに用意されていた。
 楓ちゃんが切り分けている。
「コーラとウーロン茶どっちがいい?」
 栞ちゃんが飲み物を注いでくれた。
 
 ここで、これまであまり話す機会がなかった人とも少し話す機会があった。

ケーキを食べながら移動して、クラスメートみんなと会話を楽しむ。
「たっくん、こっちこっち」
僕を手招きするのは秋ちゃんだ。
その隣は…宿泊研修で一番最初に一緒になる班の班長、理恵子ちゃんだった。
…彼女と喋るのはこれが初めてだ。

「今、りえちゃんと宿泊研修の話をしていたの。たっくん、B班…りえちゃんの班に来るのが最初だよね」
「うん、そうだね」

 理恵子ちゃんは、やや緊張しているように見えた。
「た…たっくん、って呼んでいいですか…?」
「えっ、もちろん。それにクラスメートなんだから敬語必要ないよ」
「あ…ありがとう…た、たっくん…旅行は好き?」

 こっちまで緊張しそうだ。

「え、まあ、好きか嫌いか、っていえば、好きかな」
 そのあと、理恵子ちゃんは少し宿泊研修の話をしたが、そのあとは理恵子ちゃん自身が過去に行った旅行の話が続いた。
 しかし、必要以上に電車が出てくることが多いような…
「あの、18きっぷ、って、何?」
 僕は、出てきた分からない単語を質問した。

「りえちゃん…そんなマニアックな話、通じないよ〜」
 秋ちゃんがちょっとあきれ顔になっていた。

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