君の人生、変えてあげる。 295
そして頭の中でいくつもの声がぐるぐる回るような状態で、僕はそろそろ限界を迎えた。
「梨奈ちゃん、そろそろ、イクよ。いい?」
「いいよぉ、来てぇ!」
その瞬間、僕は液を梨奈ちゃんの中に送り出した。
熱い熱い塊を梨奈ちゃんの中へ送り込む。
がくん、と崩れ倒れそうになる梨奈ちゃんの身体を慌てて受け止める。
あまりに激しすぎたのか意識を失ってしまったようだ。
さっきまで響いていた謎の声たちはもう聞こえなくなった。
いったい何だったのだろう。周りのシャワーの音もなくなったし。
「………たっくん」
「梨奈ちゃん、大丈夫?」
「う…ん、大丈夫」
梨奈ちゃんはゆっくりと足を床につけて、立ち上がっていった。
「ありがとう。たっくん。思い出にするよ」
梨奈ちゃんはそう言って僕に軽くキスして抱きしめた。
「『思い出』とか、僕がいなくなるみたいだね。僕はずっといるよ」
僕はそう言って、さらに梨奈ちゃんを抱きしめた。
引き続き出したままだったシャワーを浴びたあと、シャワーを止めた。
ブースの外からは本当に何の物音も聞こえなかった。
「あの声…」
僕は梨奈ちゃんにそう言いかけた。
「前からたまにあった…いろいろ噂はあるんだけど」
梨奈ちゃんは床に落ちた水着を拾い上げる。
「たっくんは幽霊とか信じる?」
「!?」
思いもよらない単語が出てきて一瞬戸惑う。
「…そんな噂、あるの?」
「うん。あるんだ。私もこんなにはっきり聞いたのははじめて。いままで、あんまり信じてなかったけど、これはもしかしたら、って思う」
僕は、暖かいお湯を浴びたばかりなのに、梨奈ちゃんのぬくもりの感覚がまだ残っているのに、ちょっとぞくっとした。
梨奈ちゃんは、外に誰もいないとほぼ確信しているのか、水着を持った状態でブースの扉を開けた。確かに、どのブースも開いていて誰も居なかった。
藤井さんとか、僕たちが入るのを見た人はもう帰ったようだった。
僕も梨奈ちゃんに続いて、水着を持って、制服のある部室に戻った。
「おつかれ」
誰も居ないと思った部室では、制服に戻った三浦先輩がパソコンを打っていた。
「え、あの、すみません!」
梨奈ちゃんは水着で前を隠すような動作をし、僕は一歩下がって先輩の視界に入らないようにした。
「なんであやまるの?」