君の人生、変えてあげる。 290
池江さんはお姉さんらしく背中をポンと押して何かを促す。
「い、今村ルナ…です」
「うん、よろしくね」
緊張や恥ずかしさを感じさせないよう僕もできるだけ笑顔を見せようと努める。
そのおかげで変な抵抗がなくなった。
僕も海パンを下ろし、2人と一緒にプールに飛び込んだ。
プールに入って、泳いでいる人もいるが、むしろその場に留まっている人の方が多かった。
「練習のあと、お風呂に入って親睦を、みたいなイメージで、この伝統始まったみたいなんだ」
三浦先輩は、ややこちらを正視しづらいような視線でそう言った。
それ自体は水中なので立ったままでは直接その状態は確認できない。
周りのみんなの姿もそうだ。
「もう、目と目合わせてちゃんと話しなよぉ」
「わっ、ちょっ、だってぇ」
後ろから三浦先輩に抱きつく人が。
この人は…さっきまでは向こう側で泳いでいた…
「酒本くんも楽しんでる?」
「あ、は、はい…」
「あ、初めまして、だね。私は小野寺綾。水泳部の副部長だよ」
「あぁ、それは…こちらこそ」
「ほら、聡美」
「…綾は他校に彼氏がいるから大丈夫なんでしょ…」
「そうかもだけどあたしだって初めて見たときはあったよ。聡美だって男の人に興味ないわけじゃないでしょ」
「そりゃあ、そうだけど、それとこれとは話が別…わああぁっ!」
小野寺先輩が三浦先輩を両手で押すような動作をして、三浦先輩はバランスを崩して僕のすぐそばに来て、僕が支えるような格好になった。
「綾…」
「ほーら、スキンシップスキンシップ」
…いきなりこんな事態になるとは思っておらず、僕はオロオロするしかない。
周りを見ても助けてくれるわけもないし…
三浦先輩は、いろんな意味で柔らかいというか…身体が密着して自然とソコは興奮していく…