君の人生、変えてあげる。 283
まあ、そうだろう。
ここがいつ共学になるかはわからないけど、そう言った前向きな意識をつけておいたほうがいい、と藤澤さんたちもきっと思っているのだろう。
次の休み時間、そのトイレを使ってみた。
何人かすれ違う人はいたけど、ごくごく普通で大したことはなかった。
半日だけなので、あっという間に授業は終わる。
帰る前にもう一度共用のトイレに行った。
「あ、たっくん、今日の午後。暇?」
「うん」
ちょうど個室から出てきた水泳部の梨奈ちゃんがそう声を掛けた。
「水泳部の練習、来てみない?ほら、軽くトレーニングはどう、って話あったじゃん」
「ええと、水着を持ってきてない…」
そう言いかけて、僕は先週市民プールに行ったときに律ちゃんに借りて、返し損ねていた海パンがあることを思い出した。
「…じゃなくて、やっぱり持ってた」
「ふふっ、どっちなのよ〜」
梨奈ちゃんは笑いながら肩をポンと叩く。
「いきなりでも大丈夫?」
「前に部のみんなには話してあるから。午後から部活がある人の為に食堂と売店は開いてるから、一緒に食べて行こっか」
「うん、ありがとう」
食堂で梨奈ちゃんと昼食を食べながら、梨奈ちゃんから今日来そうな先輩や同級生の話を聞いた。
そんなに人数は多くないようだ。
「ところで、部活の時はいつもは私は部室で着がえてるんだけど、たっくんはいつもの更衣室で着がえる?」
不意に、昨日の朝の更衣室での梨奈ちゃんを思い出した。多分顔が赤くなったと思う。
梨奈ちゃんは笑顔のままだけど、あえて何も指摘しないのだろうか…
「僕も一緒に着替えても大丈夫かな?」
「たっくんのことはみんなに言ってあるから、むしろ会ってみたいっていう人の方が多いかも。部長もそう言ってた」
「そうなんだ」