君の人生、変えてあげる。 280
指での途中から長椅子のようなところに横たわっていた景さん。僕は、なるべく覆い被さって恐怖感のようなものをださないよう、体はまっすぐに、膝立ちのような格好で、奥へと進んだ。
「拓真君、入ってくる!あぁ…」
景さんの声が切なく、大きく、部屋の中に響く。
「大丈夫ですか?」
「ああ…うん…大丈夫。それより、拓真くんとひとつになれたのが、今はすごくうれしい…」
景さんが健気に笑顔を見せる。
その頬に一筋の涙が流れていた。
「景さん…動きますね」
景さんは目を閉じていた。挿れはじめたときは歯を食いしばっているようにも見えたが、今はもうそんな風ではなかった。
「あぁ、拓真君のが、私の中で動いてる…」
景さんは目を開けて、両手を伸ばして僕の手を掴もうとした。
僕は景さんの中に自らを送り込みながらその手を掴み、ギュッと握ってさらに勢いをつけた。
景さんの表情が、次第に幸せいっぱいの顔に変わり、大粒の涙がこぼれてくる。
「あっ、ああっ、幸せ、私、幸せ…拓真くんのとてもいい、気持ちいいの…」
景さんは僕の手を引っ張るような動作をした。
「拓真君、ああっ、もっと、近くに…」
「怖かったり、しないんですか?」
「拓真君が怖いわけ、ないじゃない…」
僕は最後には景さんに覆い被さるような感じで続けた。そしてもうそろそろ限界を迎える。
「景さん、イキます」
外に出した方がいいのか、と考える理性はあったが、景さんの
「いいよ、来てぇ」
の言葉に、そのまま出してしまった。
そして、つながったまま、しばらくキスをしていた。