君の人生、変えてあげる。 273
食事を持ってそのテーブルに行くと、藤澤さん、遥ちゃん含め5人がいた。
軽く挨拶した。あとの3人は顔は美術の時に見ているけど名前は知らない人、顔も名前も知らない人だった。とりあえずは、挨拶しただけでお互いの自己紹介の場面は無かった。
「もともと、この話を招いたのは私の努力不足があるかな」
まず、遥ちゃんが口を開いた。
「割と、クラス内仲良くやっていた、ように感じていた、から改めてクラスで話し合うような機会をあまり作ってこなかった。そういうところが、藤澤さんとか…ここのあと2人…辻さんと戸塚さん…もだけど、のような外部生にとっては“不安を相談する人がいない”っていう状況を作っちゃった」
確かに、外部生と昔からいた人との差は大きいし、それを相談し払拭できるかどうかは重要だと思う。
僕のクラスはそれがうまくいっていたということか。
「ええと、たっくんには初めてだったね、順番が違ったね」
「いやいや」
遥ちゃんから隣の2人、辻麻美さんと戸塚若菜さんを紹介される。
藤澤さんとは仲が良く、似たような考えを持っていたそうだ。
「改めまして、酒本拓真です」
「よろしく」
「よろしく」
「あたしのところは、かもだけど、中学時代は、何かあったら学級会で言って、それで結構解決した…あたし自身が言ってたわけじゃないけどね…」
藤澤さんが話し始めた。
「ここに来て、あんまりそういう場がなかった。それで、2学期の最初の美術の時間。あたしは結構脱ぐつもりだったんだ。でも、男子がいて、それでも平気で脱ぐ人2組でも何人も出てきて、どうしよう、って思って…」
「あ、食べて。昼休みなんだから」
飛鳥ちゃんが言う。藤澤さんは目の前のスープを少し進めた。
僕らも藤澤さんの話を聞きながら食事を進める。
「それで、生徒会の話はどこから?」
「資料をもらっただけで、そこまで本気じゃないけど…その、酒本くんが立候補するって話を聞いて…」
「別に男がいらない、ってわけじゃないの…ただ、どうやって付き合っていけばいいかよくわからなくて」
戸塚さんが言う。
「選管の子からみると、確かにこの時期の選挙って予定していたわけじゃないから、どうしていいかちょっと困って、いろいろ問い合わせたりもしたんだろうな。それで話が大きくなっちゃったんだと思う」
辻さんが淡々と言った。
「こうして、酒本君と話す機会があって、よかった」
藤澤さんは僕をまっすぐ見てそう言った。