君の人生、変えてあげる。 267
そう言われて思わずハッと気づいてしまう。
歩ちゃんは僕の方をちらりと覗き込む。
「まあ、昨日は疲れてて、あのままバタンキューだったからね」
「私も、たっくんの指でイッちゃった後、記憶がないんだよね…」
「やっぱりねぇ」
縁に座っている僕は、一応下半身にタオルは掛けてあったが、新たな2人が入ってきたときにはもう反応しはじめていた。そしてこの話になって、もう外からも反応が分かるようになっていた。
「なんか、1組って、さらっとそんな会話してて、すごい…でも、そこに混ざれて、よかったかも」
薫ちゃんは、にやっとしてそう言った。
「薫は文芸部だから今後部室でもその話は続くぞ〜」
「あははは、確かにそうだね」
曇りガラスの向こうもそれぞれが楽しそうにしている。
僕らのことを気にすることはないようだ。
「そろそろ上がる?」
「うん」
その場の他の子も続いた。
「アユ、いいの?中途半端なままで」
凜ちゃんが歩ちゃんの顔を覗き込むようにしながら訊いた。
「…うん…たっくんは、同じクラスなんだし、また文芸の活動にも来てくれそうだし、いつでも機会あるよ、と思う。たっくんと、私たちの、楽しいことは、まだまだ続いていくんだよ」
「そうね」
歩ちゃんは手をつなごうとした。ちょっとだけつないだ。でも屋内に入るときにはどちらからともなく離した。
服を着て脱衣所を出て、泊まっている部屋でさらに着替え身支度を済ませる。
今日は最終日、班ごとのイベントは特にない。
集合場所に集まる。
飛鳥ちゃんたち一部のメンバーがすでに揃ってロビーでくつろいでいる。
「おはよう、たっくん」
「おはよう」