君の人生、変えてあげる。 266
「僕も…イッて、いい?」
「いい、よ…」
その数秒後、僕は薫ちゃんの中に、発射していった。
薫ちゃんはそのまま足を風呂の底につけて、両腕で僕を抱きしめた。
「ありがとう」
「こちらこそだよ」
「…なんか、たっくんの前なら、裸でも恥ずかしくないんだ、っていうこと、わかった」
「男の人の前でも?」
「たっくんが特別な存在、なのかも」
薫ちゃんの肌の暖かさを感じる。とても心地よい気分だ。
「そう思ってくれたなら、素直に嬉しい。薫ちゃんみたいな子がもっと増えたらいいと思う…」
「たっくんの前で裸に?」
「いつもみんながそうだと困るけど」
冗談を言い合うと、自然とお互いに笑みがこぼれる。
「たっくん、おはよう」
部屋を出たときにはまだ寝ていた歩ちゃんだ。一緒に来たけど途中で一旦離れていた凜ちゃんと一緒に外に出てきた。
「おはよう。歩ちゃん」
「入っていい?」
「うん」
歩ちゃんも露天風呂の湯舟に入った。
合宿も最終日の朝だ。
特に緊張感もなくまったりした空気が流れる。
みんな笑顔だ。僕もつられて頬がつり上がる。
「たっくん、どうだった?」
「うん…とても楽しかった。みんなと仲良くなれたし。ちょっと疲れたけどね」
「私も、私たちも、たっくんと一緒に来られて、本当に楽しかったよ」
歩ちゃんはますます笑顔になって言った。
「歩ちゃん達は二日目も『聖地巡礼』の続きだったの?」
「うん」
そうして、歩ちゃんはこういうところに行った、と具体的なところを話し始め、薫ちゃんは「あ、そこ行きたかった」のようなことを言った。
僕は長いこと入っていたのでちょっと暑くなり、歩ちゃん達に一言断ってから露天風呂の湯舟を出て縁に座った。
「ねえ、アユ」
「え、何、伊織」
「もしかして、昨日の晩はたっくんと中途半端だったんじゃない?」