君の人生、変えてあげる。 260
僕は、このとき斜め後ろから聞こえた声の方向に顔だけ向けていた。
「うん、まだ会ったことなかった」
「ほんとに男子が入ってるんだね…」
薫さんは、それで引くような素振りは見せず、近づいてきた。
「ええっと、まだ抵抗がある感じだったらごめん」
「そんなことないよ。私は高校からここで、中学までは共学だったから」
薫さんが笑顔を見せる。
タオルの間から見える胸元がかなりボリューム豊かに思えた。
「露天風呂の方に行こっか」
伊織ちゃんの提案に従ってみる。
天に向かうソレはまだ治まらない。僕はタオルで隠しながら歩いた。
伊織ちゃんも由佳里ちゃんも特に隠したりせずにタオルを持って歩く。
目が覚めるひんやりとした空気。
外は今日も天気が良く、昨日登ってきた山並みがくっきりと見えている。
[そんな景色が見渡せる場所に腰を下ろし、お湯に浸かる。
ひんやりとした空気と温かいお湯、心地いい気分だ。
薫さんは僕の隣に座る。
今日が初対面、まだよそよそしくなってしまう。
「ええっと…」
「薫、でいいよ」
「うん…よろしく、薫ちゃん」
どうしても視線が胸元に行ってしまう。
タオルを巻いた姿に逆にドキドキしていた。
薫ちゃんは伊織ちゃんに尋ねる
「ねえ、話には聞いていたけど、ほんとに男子の前で隠さなくていいの?」
「うん、私達は、お互いそう思ったから。もちろん、強制されてるわけじゃないよ」