君の人生、変えてあげる。 236
そう、何人かのほかのクラスの人と、仲良くなることができた。
でも…一つだけ、あまり、誰とも仲良くなれていないクラスがある。
6組。
反対派が多いという6組。
一人だけ話したことがある明智みっちゃんも「どっちの味方にもならない」と言ってたし。
さっきのお風呂も、6組の人はいたのだろうか?
歩ちゃんに聞いてみた。
「うーん…6組の人とはあまり交流がないからなぁ」
「文芸部に6組の人はいないの?」
「いないね…6組の子だけいないんだよね。他のクラスの子はいるのに」
…歩ちゃんは腕組みして考え込んでしまった。
そう聞くと、6組だけ違う世界にいるような気がしてならない。
やはり、この宿泊研修を機に、少しでも6組の人と話しておくべきではないだろうか?
僕はかばんから宿泊研修のしおりを取り出した。誰が何号室までは書いてない(1組内では書いてなくてもお互いに知っている)が、何号室が何組か、は書いてある。
「じゃあ、ちょっと、6組の人のところに行ってくる」
「何で?」
僕は、状況をこの部屋のみんなに話した。
「えっ、その状況でいきなり行くなんて無謀だよ」
歩ちゃんが真剣な顔になって言う。
「1組はもちろん、5組までは多分賛成してくれる人が多そうなんでしょ。6組はいいんじゃない?」
皐ちゃんも、そう言って行くのを止める。
「いや、先輩方がまだ分からないし、なるべくなら味方になってほしいんだ」
「アスに相談してみたら」
そう言うのは凛ちゃんだ。
「いくらたっくんにその気持ちがあったとしても、向こうがどう思ってるかはわからない。そんな中で一人で行くのは危険だよ」
「そうだけど…」
「無理することないよ。合宿が終わって学校で話せばいい」
歩ちゃんが言う。
僕は、考えた。
確かに、親しくもないのに、いきなり女子の部屋にいったら、警戒されるだろう。一般的な常識を考えると。
そう思うと、6組だけ違う世界なのではなく、むしろ1組から5組が通常と違う世界で、6組だけ通常世界なのかもしれない。
6組は外部生が多いと聞いているから、それはうなずけるような気がした。
「そうだね。今無理して行っても、きっと怪しまれるだけだな」