君の人生、変えてあげる。 224
「ちょっと、呼んでくるから、先行ってて」
歩ちゃんはそう言って、やや急ぎめに去って行った。
それとともに、部屋の他の人もお風呂の準備を始めた。
「あ、じゃあ、僕、先行ってるよ」
「あとでねぇ」
風呂に向かう僕の頭の中に、さっきの沙羅ちゃんの言葉が蘇る。
“早ければ、問題ない”
いったい何が『早い』のかはあまり気にしないでおくべきだろう。
沙羅ちゃんは僕にたくさんの人と知り合える場を用意してくれているのだ。
それは歩ちゃんも同じかもしれない。
僕も準備をして風呂場へ向かうことにした。
運動部系統と文芸部って、完全に異なるタイプの人だろう。
それもちょっと面白く感じた。
浴室はさっきよりはやや賑わっていた。
僕は沙羅ちゃんの姿を探した。程なく、露天側に座っている沙羅ちゃんを見つけた。
隣には、沙奈恵ちゃんともう1人いた。沙奈恵ちゃんは、僕が前に行ってもさっきよりややリラックスしているようだった。
「この子は、同じテニス部の、5組の、宮嶋 里枝」
「よろしくね!」
沙奈恵ちゃんに比べて背は低いが、ショートカットで肌は小麦色、活発な印象を受ける。
「うん、こちらこそ」
僕もすぐ近くまで寄って、沙羅ちゃんの隣に座る。
「沙羅ちゃん、テニス部の子と仲良いんだね」
「うーん、里枝は沙奈恵経由で仲良くなったかな。私、うちの高校の運動部系連絡会の委員をやってるからだいたいどこの運動部にも仲いい子いるよ…だから、ほんとはたっくんに紹介したい人いっぱいいるよ。今日だけじゃ紹介しきれないくらい」
「そうなんだ」