君の人生、変えてあげる。 223
「うん」
「そうしようか…」
沙羅ちゃんにそう言われ、僕と沙奈恵ちゃんも慌てて立ち上がり、脱衣所まで小走りで向かい、着替えた。
夕食の時間にはギリギリで間に合った。
純菜ちゃんはばつが悪そうに軽く頭を下げていたが、梨奈ちゃんや由佳里ちゃんたちは何があったかわからないようだった…まあ、それでいいのかもしれないんだけど。
幸い、お風呂の時間は制限がなくなったのだからまだチャンスはあるだろう。
夕食では、やはり皆さん、女子にしては多めに食べるように感じた。
柚希ちゃんは、ワンゲルの普段の「ハイキング程度の」活動の話をやや具体的にしてくれた。
「今日みたいな絶景はなかなかないけど、それなりにいい景色のところ行くよ。とくに装備とかはいらないから、たっくんもよかったら来てみて」
「うん、考えてみる」
本当に「ハイキング程度」なら、行ってみようかな、とちょっと思う。
今回の「登山」も、みんなが言うほどはハードではなかったし。
夕食が終わって沙羅ちゃんが耳打ちする。
「お風呂行く?」
「うん、ちょっと後でね」
この後お世話になる歩ちゃんたちの班の部屋に荷物を置いてから、再度風呂に行くことにしよう。
その旨を沙羅ちゃんには伝えておく。
「沙奈恵の都合があわなかったら、別の子を呼んでくるから」
沙羅ちゃんはそう言って、いったん自分の部屋に戻るようだ。
「ありがとう」
「たっくん、もうお風呂入ったの?」
僕の髪の毛が濡れているのを見て、なのか、歩ちゃんがそう尋ねた。
「ちょっとシャワー浴びただけ。これからちゃんと入りに行くところなんだ」
「じゃあ、いっしょに入ろうよ」
その誘いは嬉しかったけど、どう兼ね合いを取ろうと困る。
「ありがとう、でも…」
「そのへんは大丈夫だよ。他のクラスの子と仲良くなるってヤツでしょ。アスから聞いてる」
「そうなんだ…」
「私たちも他のクラスにいる文芸部の子を紹介しようと思っててね」