君の人生、変えてあげる。 211
博物館を出るともう11時半くらいだった。
昼食に予定していたパスタ店も、ここから歩いて数分のところにあった。
パスタが出てきて、みんなで食べ始めるのだが、僕がスプーンを添えて麺を巻く中、他のみんなはスプーンが無くてもうまく巻いているのだった。
それが珍しいのか、操ちゃんや秋ちゃんは不思議な顔をして僕を見ていた。
「あっ…変だったかなぁ」
「ううん、たっくんみたいにする人は初めて見たから」
「外でパスタを食べることってなかなかないから」
「今度学食でもパスタフェアあるからそこでも見てみようか」
香里ちゃんが口を挟む。
「うん、そうだね」
皆がそう言う中、僕は“この食べ方はおかしいのだろうか?”と思ってフォークの動きが止まってしまった。
飛鳥ちゃんは何か考えている。
「…ねえ、初等科から居た人は、パスタの食べ方って、練習した覚え、ない?」
「あ…そういえば、給食で、やったかも」
それに答えたのは操ちゃんだ。
「そんなことやるんだ」
「食事のマナー、の一環だったかな…それで」
「食事以外でもテーブルマナーとか、いろいろ教えられたね」
香里ちゃんも言う。
「初等部からいたのは飛鳥ちゃん、香里ちゃん、操ちゃん…」
「あと秋ちゃんもだね」
「私、実は高校からなんだ」
莉緒ちゃんが最後に付け加えた。
テーブルマナーとかやっているのは、さすが歴史ある女子高、やはりお嬢様学校的なところがあるんだなあ、と思った。
莉緒ちゃんが高校から、というのは意外だった。
というか、このクラス、みんな仲いいし、この中で誰が高校から入った、なんてほとんど考えたことがなかった。