君の人生、変えてあげる。 208
学芸員さんの示した一枚の絵を見る。
黄色やオレンジ色、鮮やかに色づいた葉が一面に描かれている。
「もう少し秋深まった頃に来れば、紅葉シーズンでより景色もいいんですけどね」
「綺麗ですね」
「この道を上っていくと頂上ですね。頂上からの眺めも素晴らしいですよ」
そう聞くと、午後からの楽しみが広がる気がする。
この部屋を出た後は、彫刻などの立体物の部屋になった。
「この部屋には、この市出身の立野清造先生の作品が集められています」
入ってみると、あまり具体的に何、という感じではなく、文字通り芸術的な像が並んでいた。
「芸術的ですね」
飛鳥ちゃんが言う。
「立野先生は、我が国の抽象彫刻のパイオニアと言われます…が…分かりにくいかもしれません。次の部屋に行きますか?」
その次の部屋も、先程の立野氏の作品という彫刻に、地元の特産品と言われる焼き物が展示されていた。
「陶芸って一度やってみたいと思うんだ」
「今回の体験学習にはなかったね」
飛鳥ちゃんと香里ちゃんの話に加わってみる。
僕らが今いる部屋が最後のようだ。
美術館って普段は滅多に行かないけど、こうしていると何か新しいものを感じられた気がする。
僕たちは学芸員さんにお礼を言い、学芸員さんは「紅葉の時期にも是非いらっしゃってください。また、別館には陶芸の体験コースもありますので機会があれば是非」と言って、僕たちは美術館を後にした。
再び暑い日差しの中を進み、数分で次の目的地、博物館に着いた。
「さあ、博物館!」
ここでは、とりわけ莉緒ちゃんのテンションが高い。
博物館の中に入ればまた涼しくなる。
中の案内に従って進むと、いきなり巨大な生物の全身骨格のお出迎えだ。
「…こんなにでっかいんだ」
「すごい時代があったもんだね〜」
「この化石が近くの地層から見つかったんだ」
「いや…正しくは、この生物と同じ種類というか、種族というのか…その生物の化石が発見されたようだ。残念ながら全身ではないが」
…そう説明するのは莉緒ちゃんではなく綾ちゃん。
綾ちゃんもこういうのに興味があるのか……それとも単に物知りなのか。