君の人生、変えてあげる。 188
「最初はそう思うよね」
海里ちゃんが言う。
「男子が新しくやってくるって聞いたときは不安だったもん。どうなっちゃうんだろうって」
「そうだよね…」
「でも、もう今は平気かな…それもどうなのって感じされるかもしれないけど。たっくんはうちのクラスの仲間の一人、性別は関係ないって」
海里ちゃんは僕に笑って見せた。
「うらやましい、って思ったなら、仲良くなってみようよ」
「う…ん、そう、だね」
麗音ちゃんは、顔を横に向けたまま、手探りで僕の手に触れ、そして握った。
そして、数秒の後、ゆっくりと顔をこちらに向けた。
「麗音、言いたくないかも、だけど…その、元彼とは、キスはしたの?」
海里ちゃんが麗音ちゃんに尋ねる。
「…ないなぁ…手をつないだことがあったくらい」
少し頬を赤らめながら麗音ちゃんが答える。
「麗音ちゃん…」
「たっくん、いい、のかな…」
麗音ちゃんは顔を近づけ僕を見つめる。
麗音ちゃんは目を閉じて、唇を突き出す格好をした。
僕は、麗音ちゃんの期待を裏切らないよう、丁寧に、唇を、つけた。
見ている人はそれなりにどよめく。
唇を離すと、麗音ちゃんの目はうるんだようになっていた。
「ねえ…もっと…とかって、言っていい?」
「もっと、どうしてほしい?」
麗音ちゃんの言い方では何を求めているのかわからなかった。
麗音ちゃんは顔を赤らめて、俯く。
「たっくんと、恋人みたいになりたい…」
か細い声でそう言う。
「わかった…ありがとう」
僕は麗音ちゃんの身体を抱き寄せ、もう一度キスをした。