君の人生、変えてあげる。 186
僕も体勢を戻し、ゆっくりと湯船に浸かる。
「刺激が強すぎたかな…ごめんね」
「うぅん…ちょっと、ビックリしただけ…」
みどりちゃんに謝ると、彼女のほうも少し笑って返してくれた。
周囲にいた、また後になってやってきた子たちの間でもざわざわとした雰囲気になる。
僕もちょっと恥ずかしくなる。
「なんか…羨ましいって言うかぁ…」
「麗音、あん時の彼氏とは…」
「あぁ…中学卒業してちょっと後に別れちゃったよ…」
ルイちゃんの近くにいた3組の女の子が、海里ちゃんとそう会話していたのが耳に入った。
「そうだったんだ…ごめん」
「いいよ…結局、何て言うか、深い仲になる機会もないままの交際だった」
「この子は、うちのクラスの白鳥麗音」
みどりちゃんが説明する。
「酒本拓真です。よろしく」
「よ、よろしく、お願いしますぅ」
彼女は僕が近づくと急にドギマギしながら顔を赤くさせた。
「ごめん…見てたよね?」
「は、はい…」
俯いてしまった。
外見はお嬢様っぽいけど、中身はかなりシャイな様子。
「海里ちゃんの友達?」
「うん、中学の頃から一緒なんだ」
「たっくんの隣に行ってもらってもいい?」
「うん、もちろん」
海里ちゃんが麗音さん(今のところ、まだ「ちゃん」では呼びにくい)を僕の近くへ、と誘導し、僕もOKする。
麗音さんは、みどりちゃんの反対の隣に来た。
「中学のときは、海里と同じクラスで…」
「麗音の家ってすごいんだよ。なんてたって大企業の社長さんだからね」
「もう、海里ったら…」
そう言う麗音さんの目はちょっと笑っている。
海里ちゃんとは仲が良いのだろう。
「彼氏がいたの?」
「ああ…聞いちゃってた…?」