君の人生、変えてあげる。 176
6組…あのクラスは確か、みっちゃんが委員長を務めるクラスだ。
あの班にはみっちゃんはいないようだが。
そういえば、6組は僕のことをあまり好意的に見てもらってない、と以前聞いたような気がする。
向こうから気にされるのも仕方ないことなのだろうか。
「それって、やっぱり僕が…」
「まあ、そうだろうね。でも、たっくんは心配することないから」
再び麻由ちゃんに聞くと、そう返される。
「それに…」
麻由ちゃん、ちょっとにやっと笑ったように見えた。
「あの子は、あんまり、好意的でない、という感じては、なかった。6組も、みんながみんな、同じ考えではないと思う」
麻由ちゃんは、さらに小声で、そう言った。
やがて、焼き上がったものが運ばれてきた。
これで金属らしくなってきた。
たたいて、くぼみをつけるような感じで文字を入れて、そして磨いて光沢を出していく。
大変かと思ったけど、目の前でだんだん思ったものができていくのは、それは楽しいことだった。
さらに時間が経って、完成したアクセサリーを手にする。
「うまくできたんじゃない?」
「ね、いい感じだね」
完成品を見せあう。
みんなで一緒に入れる、と決めた『友情』を意味する文字も、光り輝いているように見えて、嬉しかった。
これをやりたいと言った天音ちゃんは、とりわけ満足そうだった。
「本当はね、作品をたっくんに贈りたい、って思った子も…私も含めて…何人かいたけど、何人もに贈られたら、たっくん困っちゃうと思ったから、それはしないよう、申し合わせたんだ」
「あ、それは、ありがとう。気持ち、有難く、受け取っておくよ」
確かに、何人もがプレゼントしてくれると、だれからのをつけていいか、困ってしまう。配慮に感謝。
結構長めのコースだったので、もう夕食に近い。ホテルに戻って、夕食になる。
夕食は、この班でまとまって食べた。
理恵ちゃんが、鉄道の趣味を持ったきっかけになった旅行の話をみんなにしてくれたりした。
その話のあと、僕は、隣の、家がケーキ屋の楓ちゃんに話し掛けた。
「家で、ケーキ作り、手伝ったりするの?」