君の人生、変えてあげる。 172
「酒本くんはこれ以降の時間でも大丈夫?」
「はい、大丈夫ですよ」
僕に対してもそうだし、他のクラスの子にも配慮した結果だろう。
あとは施設の利用法や、持ち物の確認など。
「たっくんは何か本とかゲームとか持ってきたの?」
隣の歩ちゃんが聞いてくる。
「あ、それは、あんまり考えてなかった…」
「私はUNOを持って行くよ」
「ウノ?」
実は、名前は聞いたことがあったが、やったことがなかった。
「ウノって、実はよく分かってなくて」
「やったら、すぐ分かるよ」
そう言って歩ちゃんはバッグの中から箱を取り出し僕に見せる。
…見たことはあるけど、どんなゲームだったかなぁ。
「そのときのお楽しみね」
「うん」
授業、というか説明は午前中で終わる。
あとは明日に備えるだけだ。
今家に帰っても昼食は無い…母さんは平日昼間はいない…ので、午後もある日と同じように食堂に昼食を食べに行った。
1年生が午前で終わるのでいつもより空いているが、僕たちはだいたいいつもと同じメンバーで食事した。
「歩ちゃんの班は、どこを回るの?」
「実は『聖地巡礼』で」
「『聖地』?」
歩ちゃんの説明によると、あるアニメのモデルになった場所がその高原にあって、そこを回るのだという。
歩ちゃんがその作品のタイトルや内容などを説明してくれた。
何と無く聞いたことはあるけど…でも、面白そうだな、と思った。
その後もそれぞれの班がどこを回るか、何をするのかといった話で盛り上がった。
明日からの宿泊研修がとても楽しみになってきた。