君の人生、変えてあげる。 165
「佳奈さん…もうすぐ、イクよ……イッた…」
「たっくん…」
磯村先輩は、動きをとめ、立ち上がろうとした、が、高森先輩とは反対側に、倒れ込むように横になった。
僕も、ちょっと、瞼が重くなっていた。
「たっくん、たっくん…」
気がつくと、すぐ近くに、鈴ちゃんの顔があった。
「僕、寝てたの?」
「ほんの一瞬」
「そうだったんだ…」
ほんの一瞬フッと意識が落ちたが、寝ちゃっていたんだ…
「先輩たちは?」
「シャワー浴びに行った」
…さて、最後の相手、鈴ちゃんの番か。
いったいどんなシチュエーションだろうか。
「疲れた?」
鈴ちゃんも、僕の隣に横になった。
「あ…うん、いや、疲れたわけじゃなくて…」
鈴ちゃんは、右手を僕の髪の毛から頬へと、触れていった。
「無理しなくていいよ。やっぱり、短い時間に6人は、大変かなぁ、って思って」
確かに、ちょっと大変だったけど、ここで肯定しては、鈴ちゃんにあまりに失礼だ。
「いや、がんばるよ」
…つい、がんばる、なんて、言ってしまった。
鈴ちゃんは、くすっ、と笑った。
「うん、だから、ここは『疲れたでしょ』って、ゆっくりする、シチュエーション」
鈴ちゃんの言葉に一瞬意味がわからず首をかしげるが、ちょっと考えた後、それが理解できて思わずクスッと笑ってしまった。
「変だったかな?」
「いや、全然。僕のことを気遣ってくれてありがとう」
「ふふふ…いえいえ」
鈴ちゃんも微笑む。
それにしても、昨日今日と何人を相手にしてきたんだっけ…我ながらよく体力が持っているものだ。
「おつかれ」
鈴ちゃんは、僕の隣に横になったまま僕を抱き寄せ、そしてキスをした。
唇だけつける、それでも、長いキスだった。
鈴ちゃんが体を離したとき、僕は、ブラウスのボタンに手をかけた。
「いいよ。自分でやるから。休んでて」