君の人生、変えてあげる。 151
そして、僕にとっては久しぶりの、あのマンションにやってきた。
歩ちゃんが鍵を開け、その後について中に入る。
あのときと変わらず、家具も最低限しかない部屋。
「シンプルな部屋だね」
磯村先輩が言う。
「普段は使わないようですからね」
そう、変わらず、シンプルな部屋、なのだけど、まったくあの日、後にした時のまま、ではない。きれいだ。
まるで、ホテルの部屋に泊まりに来たようにきちんとしている。
誰が掃除しているのだろうか?秀雄さんも飛鳥ちゃんも遠いはず…
僕たちは、カーペットの上に座って、買ってきたペットボトルのウーロン茶を紙コップで飲んだ。
皆、あまりしゃべらない。
「たっくん…あの、先に、シャワー…浴びる?」
ある程度飲んだ後、歩ちゃんが、沈黙を破り、ややうつむいて、そう言った。
「あ…う、うん…」
僕は曖昧な返事を返す。
そのまま促されるように1人でシャワー室に入る。
服を脱いで、まとめてカゴの中に入れ、風呂場でシャワーのお湯を出す。
茉莉菜ちゃんたちのときとは何か違う…僕はどうしたらいいか…頭の中で考える。
「たっくん」
「えっ?」
シャワー室のドアが開き、伊織ちゃんが声をかけてきた。
「一緒に浴びていい?」
「え、ああ、もちろん」
そう言うと、伊織ちゃんは、速やかにシャワー室に入り、服を脱いだ。
僕は、持っていたシャワーを伊織ちゃんに渡し、自身は椅子に座った。
「ごめん、困らせちゃったかな?」
伊織ちゃんは、シャワーを浴び、自らの体をこすりながらこう言った。
「えっ?」
「一年生は、部屋に来られるよ、とは知っていたんだけど、それからどうしよう、とかあんまり話してなくて。しかも、先輩方もいるし…今、他の人で、ちょっと話し合ってる」
「そっか…」
僕だってこの展開は予想外だった。
正直、この後どうしようなんて今考えようとしていたくらいだ。
「それでね…先輩からは、ただたっくんとするだけじゃ面白くないから、一人一人シチュエーションを考えて…ってことになって…」
伊織ちゃんは僕に身体を寄り添わせた。