君の人生、変えてあげる。 16
「ん、あっ、んっ、ああっ!」
…僕も童貞ではあったが、胡桃ちゃんもまた初めて…処女なのだ。
…そりゃ初等科から一貫教育の私立女子校だからな…
「…ありがと」
瞳に涙をためていながらも、胡桃ちゃんは僕に笑顔を見せた。
…『もっと仲良くなる』って、こういうことかな…?
近くにトイレットペーパーのロールが落ちていた。
僕は、自分がこぼしてしまった液を、拭こうとした。でも、全部とれるわけではない。
「…大丈夫よ…ここ、使われなくなってから、何人かの先輩が、こうして使っていたらしいんだ。しみが一つ増えたって分からない」
「ええっ?!」
女子同士で、こうして?!
「ここ、通用門の一つに近いの。もちろん、本当はいけないのだけど、他校の男子を連れてきて…って話があって。聞いた時は、信じられなかったけど、まさか、こんなに早く、私にもそんな機会が来るなんて…」
胡桃ちゃんは起き上がって、もう一度僕の近くに来た。
「この話、知ってる人はあんまりいないから、誰にも言わないで」
「も、もちろん」
「…じゃあ、私、帰るね」
「胡桃ちゃん…」
「えっ?」
クエスチョンマークがついた感覚を、胡桃ちゃんにぶつけてみた。
「僕…そのう…どうだった?」
胡桃ちゃんは、服を着ながら、再び笑顔を見せた。
「…ありがとう。仲良くしてくれて。じゃあ、また」
服を着終わった胡桃ちゃんはそう言い残して、早足で去っていった。
僕は帰りながら、考えた。あまりにもあっという間の、よくわからない体験だった。
正しくできたのだろうか、やっぱりかなり痛かったのではないか…あんなに涙ためていたし…
処女って思わなかった。あんなに積極的に誘ってきたし。僕は申し訳ないことを、してしまったのだろうか…
僕は、帰ってから、いろいろインターネットで調べてみた。でも、本来どうやればよかったのか、は、よくわからなかった。
ー翌日
普通に学校に行くと、一番最初に会ったのは胡桃ちゃんだった。
「たっくん、おはよ」
「ああ、おはよう」
「…昨日は、ありがと」
「う、うん」
「今日も頑張ろうね!」
そう言って僕の肩をポンと叩いて、教室に入っていく。
…いつもの胡桃ちゃんだな、よかった。
教室に入って、今日の時間割を見る…
「あれ、今日の1時間目もHR?」
「うん、たっくんのためのHR]
茉莉菜ちゃんが言う。
「…僕のための?」
「テーマは『たっくんのお悩み相談会』。この学校での生活とか、勉強とかでたっくんが悩んでること、困ってることを言ってもらって、私たちがそれに答える、という時間」
飛鳥ちゃんがそう言う。