君の人生、変えてあげる。 142
歩ちゃんはクスッと笑った。やっぱりおかしな質問だったかな。
「私は、もう16歳だよ」
「そうなんだ」
「みんな誕生日を迎えると、クラスでああいう祝い事をするの?」
「できるときはね。私は夏休み中だからそれはなかったけど」
歩ちゃんは続ける。
「考えてみると、女子は16歳で結婚できるのに、こういうところは、一律に18禁って、不思議だよね」
僕は、一瞬、何と言ったらいいか判らなかった。茉莉菜ちゃんの話といい、この学園の人は、結婚とか意識するのだろうか??
「そ、そうだねぇ、不思議だよね」
僕は、無難に応えた。
僕は購入するものをレジに持って行き、支払いを済ます。
幸い、恐れていたようなことにはならずに済んで、少しホッとした。
「お待たせ」
「じゃあ、みんなのところに戻ろうか」
歩ちゃんと一緒に、A館のブースから出て、他のみんながいる場所に向かう。
合流した場所は、さっきと違うフロアだった。
磯村先輩は、僕も含めた一年生に向かってこう言った。
「参考までに、ここが、千夏とかがやっている、BLのフロア」
僕は、それらのうすいほんたちを見渡した。例えば、僕も知っているアニメのキャラクターが、男二人で並んで描いてあったりする。
BL…ボーイズラブ…このほんの中では、この二人が…うーん、この妄想は、わからない。
「酒本くん、ちょっとわからないかな」
「ええ、まあ…」
「大丈夫。私も、千夏の趣味はイマイチわかんないんだよね」
そう言って苦笑いする磯村先輩。
「住んでる世界が違うからね〜」
高森先輩もいつもの笑顔で言う。