君の人生、変えてあげる。 110
「う、うん…初めて…」
俯いて、まだほんのり赤い顔で、葵ちゃんはか細い声で言った。
「そのうち慣れるもんだよ」
「そ、そうなの…?」
律ちゃんの言葉に、葵ちゃん、声が裏返っている。
「じゃあ、たっくん、もっと見せてあげようか」
胡桃ちゃんがニコッと笑って言う。
そうして、胡桃ちゃんはお湯の出ているシャワーの一つを引き寄せ、僕の腕にお湯をかけた。
「熱くない?」
「大丈夫」
そう聞くと、胡桃ちゃんは、僕の体に、特に下半身をお湯で流した後、こう言った。
「湯舟のふちにこしかけて、脚を開いて」
「こ、こう…でいい?」
言われた通りに脚を開く。
「うん…これでよく見える」
胡桃ちゃんが微笑んだ。
…着替えの時に見られるので慣れてはいるけど、なんだか気恥ずかしいところがある。
「うわあ…」
葵ちゃんは顔を赤くさせながらも興味はあるようだ。
「私も…こう、間近では、見たことなかったかも」
律ちゃんが、胡桃ちゃんに促されるように僕の近くにしゃがみ、目線は僕のモノのあたりと合っていた。
「他の人は、あるの?男の人のを…こう…間近で」
「私は、ある」
茉莉菜ちゃんが、湯舟の中から、言った。
「えつ、初耳!」
「私も16歳。結婚できる年齢だから、婚約者候補みたいなのがいるの。まあ、昔じゃないから、母さんも『嫌だったら断っていい』って言ってくれているから、そろそろ断ろうと思っているけどね」
やっぱりこういう家庭だと、そういうのがあるんだな。
断られる方には申し訳ないけど、僕も茉莉菜ちゃんが結婚するのは現時点では想像できない。
「どうして断るの?」
「そりゃだって…そんなの言えないよ」
奈緒ちゃんの問いに顔を赤くして答えた茉莉菜ちゃん…一瞬僕の方を向いたような気がした。