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君の人生、変えてあげる。
官能リレー小説 - 学園物

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君の人生、変えてあげる。 11

そう話しているうちに、目的の場所に着いた。
「ここが体育教官室ね」
「ありがとう」
1階部分が体育館で、2階が柔道・剣道・弓道を行う武道場になっている。この教官室はその武道場の裏側にひっそりとあり、先日の案内がなかったのもなんとなく納得してしまった。

「体育の先生って、別の学年も女の人?」
「うん、というかここの先生は全員女の人。たっくん以外に男の人は今のところいないね」
それも身の狭い話だが、前の学校で暴力を受けた相手のほとんどは体育教師の男だったので、そういう存在がいないのは安心できる。

「失礼します」
ドアを開けて、沙羅ちゃんと一緒に中に入る。
「あぁ、来たんだ。待ってたよ」
そう言って、ライトブラウンのロングヘアを靡かせてやってきたのが、僕らのクラスの体育担当・澤村菜々子先生だ。

「はい、これが酒本くんのジャージの体操服ね」
「ありがとうございます」
「サイズが小さい、大きいようなことがあったら言いに来てね」
「はい」

みんなが着ていたのと同じデザインである(当然か)。
白というのか、薄いグレーというのか…の地に紺色のラインが入ったジャージ。
胸元には黄色の星のマークが入っている。

ちなみに、この学校は『涼星高校』という名前だ。
母さんが通っていた頃は『星ヶ丘女子』という名前だったようで、胸元の星マークは校名から取られているようだ。
…校名が変わっていたのは安心すべきところなのだろうか。

「水泳とか、冬のランニングは個人だから問題なく入ってもらえると思う。ダンスは…これはやはり、創作する方はともかくとして、踊る方は女子向きと思うので、何かに振り替える方向を考えてる…ダンスやってみたいなら別だけど…」
「いえ、別にそういうわけでは…」
「球技は、ちょっと相談しているところ。男子が入ったチームが有利になるのでは…というのがあって」

 これは「そうですね」と言えるほど自信のある球技は無い。

「あと…格技が必須なんだけど、うちの授業では柔道しか設定がない。それをどうしようかということも検討中よ」

 菜々子先生、ちょっとにやっと笑って

「でも、着替えが一緒でもいい、っていうくらいにクラスメートに受け入れられているなら、柔道も一緒でいいのかな」

 あの暴力高校では幸い柔道の授業が始まるまでは在籍しなかったので無かったが、中学時代の柔道の思い出はある。

 柔道といえば、組んで、寝技とか…
 僕は、ごくりと唾を飲み込んだ。
 
「あと、時間のあるときに体力測定を受けてもらうね」

 菜々子先生は握力計や背筋力測定機などがしまってある棚を示してそう言った。

「今日の放課後は?」
「すみません、ちょっと予定が」
「じゃあ、明日の昼休みか放課後にちょっと寄ってね」

「あの、そろそろ戻らないと」

 後ろで待っていた沙羅ちゃんがそう言った。そう、休み時間が終わってしまう。

「はい、明日寄るようにします」

 そう言って、僕と沙羅ちゃんは体育教官室を後にした。



「多分、疎外感感じないで済むようになるよ…あたしも、多分みんなも、たっくんに体育一緒に参加してほしいから」

 沙羅ちゃんは、うつむきかげんでそう言った。
 僕は、さっきの柔道の話で、まだどきどきしていた。

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