生徒会日和。 97
日ごろ少々荒ぶり加減な歩さんは見ているが、それに喧嘩を売ろうとせん姫さん。
この状況は少し危険だ。
「あ…まあ、すぐに出来るので落ち着いてくださいね」
隼人さんは困り気味の笑顔で2人を制す。
すぐにネタを握り、提供する隼人さん。
その手捌きはさすが修行経験を物語る速さ。
先に握った大トロはどちらへ…普通なら先輩である歩さんのほうへ行くのが常識だが…
ここは無難な手でかわしたようで、2人前をまず握ってる。
そして、「お待ち!」
立て続けに2人に差し出した。
先に歩さん、そして直後に姫さんに。
直後、次々と注文が飛び出した。
「僕はハマチをお願いします。」
「あっ、私もそれを!」って梓さん。
真希さんは、「私はサーモンをお願いできるかしら。」と言い、早紀さんは、「私はイカをお願いします。」
それを隼人さんは、「ハマチ二丁、サーモン一丁、イカ一丁、まいど!」と言って手早く握り・・・
注文順に僕たちの前に差し出してくれた。
…寿司が美味しいのはもちろん、ハヤトさんのネタを握ってこちらに提供するスピードは本当にすごい。
「美味しい!」
「こんなの初めて食べた〜」
小坂井姉妹、いちいちリアクションが大きい。
でも、それだけ美味しいってことなのです。
…にしても
歩さんと姫さんは何を張り合っているのか、同じネタを注文してる…
(しかも高級なものを)
―少し状況は変わった。
「うへへ…幸せだなぁ…」
皿の上に大トロ、中トロ、ウニ…と並べ、ご満悦の姫さん。
「しかも美味しいしぃ…へへへ」
…高級食材で脳内アドレナリンが活性化しているのだろうか…まあ幸せならそれで何より。
亜里沙さんはどうかと言えば真っ先に玉子、次いでコハダ・〆鯖・エビ(茹)を頼んだ辺りハヤトさんの腕を試したのだろう、ほむほむ頷いていた。
貴女ただでさえアレな人、その眼光でビビらない一般人男子と言えば、ここにはいないオデコの眩しい残念イケメンぐらいです。
悪気ないんだろうけどあまり睨まないでやって下さい、何かハヤトさん命懸けで握ってるし。
亜里沙さんは彼の腕に納得した所で鰺・鰯・秋刀魚といった大衆魚を頼んだかと思いきやクルマエビの踊りにアワビ、思い出した様にゲソと浮き沈みが激しい。
価格どうこうより折角海が近いのだからと鮮度優先のネタを選んでいた。
グルメが大味扱いする鮪トロ全般、そして寝かせる前提の白身魚や牡蠣、金さえあればどこでも食える類は片っ端からスルー。