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生徒会日和。
官能リレー小説 - 学園物

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生徒会日和。 90


「やーやー、悪いねみんな。樹、よろしくなー」
「あー、はいっ」
ニコニコ顔の梓さん。
トレードマークのツインテールがまるで意思を持っているかのようにピョンピョン揺れている。

男言葉で、性格も男勝りな梓さん。
スポーツ万能、運動部の助っ人を掛け持ちしていて、軒並み大活躍を収めているそうだ。
それでいて勉強のほうも学年上位クラスだから、本当にすごい人。
…口にしたことはないが、実はすごく尊敬している。

「…部屋割りも決まったみたいだけど、今から何しよっか?」
歩さんがみんなに尋ねる。

僕は(とりあえず今夜は)同室が比較的話のわかる人、という安心感を抱いて落ち着きが出て来た。
文武両道への敬意以前に、梓さんの人徳とっつき易さの問題だ。
そうした安心感から、僕の思考も安定してくる。

確かにプライベートビーチとやらは魅力だが、旅先で如何にも地元といった風情を味わうのも悪くない。
僕がスマホで検索した範囲、お祭りや花火大会どうのという記事もあった。
どちらにせよ、あやせさんかハヤトさんの地元情報を頼る事になるだろう。

ハヤトさんの方もいい歳の社会人が女子高生と同室で寝泊まり、という僕以上に特殊な状況への諦めが付いたようで、仕事スマイルに戻っていた。
確かに結局の所、夜の事は夜で考えるしかない、当面まずどうするか、とりあえず僕は歩さんを振り返る。

『ぐう〜…』
…沈黙。
…言った張本人のお腹から上がる獣のような低い唸り声のような音。

「…ま、腹が減っては戦は出来ぬって言うしね!」
「朝ご飯食べました?」
「…た、食べたわよぅ」
…小さな身体の割に結構食べるんですかね。

「じゃあ、お昼ご飯作ろうかしら」
歩さんの状況を知ってか知らずか、あやせさんが言った。

「丁度さっき、お昼の分を届けてもらった所なんだけど…皆さんシーフードは大丈夫かしら?」

というあやせさんの申し出、矢継ぎ早に意見する生徒会+αの一年女子が僕の前にあった。

やいのやいの、その中に魚介アレルギー云々という話は一切なく、単純な好き嫌いか食わず嫌いの基準。
現代の一般的な女子は極論、親子で回転寿司さえ魚は怖いとまで言われてしまう時代。
今時の女子基準で『カワイイ善vsキモイ悪』の構図が人を生かす食物にまで適用されてしまう、僕としては不条理この上ない単なる好き嫌い。
しかし、あやせさんはやはり女子の視点から気にする事もなくフムフムと聞き分けているようだ。
魚介類と言わずにシーフードという表現を使ったのも話術の類なのだろう。

ここは海が近いだけあって魚介類が豊富。
あやせさんが今から使う食材も今朝港町の市場で買ってきたものらしい。
都会?暮らしの僕らとしては新鮮なものがいつものように頂けるというのは正直羨ましい。

「はい、召し上がれ」
手際よく調理してあやせさんがお昼ご飯を持ってきてくれた。

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