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生徒会日和。
官能リレー小説 - 学園物

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生徒会日和。 91

それではみなさん姿勢を正して…。

『いただきまーすっ!』

お昼のメニューは調理の早い刺身と揚げ物が主体だった。
漁港に近い地域で刺身が旨いのは道理、海鮮サラダだって乾物ではない生の方だ。
そして輸入物・養殖物を使った、何の事もないエビフライやマグロカツでさえ、プリプリの歯ごたえが素晴らしい。

「あによ、好き嫌いどうとか、かえっこ、すれば済むじゃない、もふもふもふ…。」

かく言う歩さんがイカげそ天麩羅をもりもり咀嚼し、イカそうめんを本当にそうめんの勢いでかきこむ。
僕はこの人が食欲だけで地球征服出来るんじゃなイカと思う。
あんな小さい身体で本当にどこへ収まるんだろうと考えていた矢先、真希さんが『ご飯粒付いてるわよ?』と歩さんを窘めるついで、さりげなく肘で胸を揉んでいた…そこに収まるのだろうか。

「ご飯に乗せても〆の茶漬けにしても食べられます。」
「何コレすごい?」
「本当に鰺なの?」

見た目通り和食派らしい亜里沙さんの薦めた鰺なめろうを、おっかなびっくり口にして小坂井姉妹がキャッキャはしゃいでいる。
眩しい…いや確かに眩しい笑顔だがその向こう物理的な眩しさ、何かに光が反射した様な気がした。
キッチン脇の勝手口から夕飯らしい食材を運び込んでいたお手伝いさん、あやせさんからまた他の用事を頼まれた様だ。
光が反射したのも多分ヘルメットのバイザーだろう、弁当やメモを受け取るなりまた勝手口から出て行き三輪スクーターのエンジンを響かせる。

若いうちから勤勉な男子、でも暑い時期ヘルメットはマメに脱がないと髪が…。
などと心配していた所で僕の頬に誰かの角、いや髪が刺さる。

その正体は超人強度一千万パワー女子高生、梓さんのツインテール、てぇか顔が近いです。

「樹くん酷いなぁ〜?新婚初夜を前にして男ばっか見てるのかい?」
「どっちもどっちも誤解招く事言わないで下さいよっ!世ん中どんだけ荒れ放題ですか?」

さっきまで、たまらないぜハニハニなアニメの再放送をチラ見してた葵さんが『男』に反応してるし。
最近は漫研女子とも付き合いのある葵さん、只でさえ日に日に貴腐人化が進んでるんだから。

「という訳でハ〜イ、ア・ナ・タ、あ〜ん?」
「何がアナタであ〜ん?なんですか!しかもサザエ殻ごと寄越さないで下さい!」

「いやいやそこは男らしく殻ごとバリッと!」
「いやいやいやそんなことしたら歯ぁ逝きますって…」
「そぉかぁ?」
そうですって。
…にしても一日独占権ってこういうことなんでしょうか、僕らを見ながら当たりくじにそれを書いた真希さんはニコニコしてらっしゃる。

「みんなの口に合うようで嬉しいな」
あやせさんも笑顔で言う。

「夜は板前さんを呼んでお寿司を握ってもらおうと」
「さすがっ、あやせさん!!」
すごいことになりそう…それを聞いてガッツポーズは茜さん。

「板前さんってえ、回らないお寿司ってこと?」
見当違いのコメントは姫さん。
…お嬢様っぽい名前とは裏腹に、感覚はこちらよりなのか。

「ま、姫ちゃんはバイトのお給料で回転寿司がやっとだもんなぁ」
「売られた喧嘩は買うぞお嬢様よぉ」
何か殺伐としたやり取りだが2人とも笑顔。

まあ仲がいいからこそ言い合える冗談のような罵倒だから心配はしないけど、それにしても姫さんの生い立ちが気になる。

すると、姫さんに向けた視線に気づいたか、小坂井ツインズの妹・茉莉亜さんが近づき、小声で僕に言う。
「姫ちんはね、親元から家出して一人暮らししてるんよ」
「ああ…って、家出…?」
「あまり大きい声で言えないんだけどさ、姫ちんのご両親、ドロドロの離婚闘争があったみたいなんよ。それで姫ちん大激怒、家を飛び出しちゃったらしい」
「…あぁ、それでか…」

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