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生徒会日和。
官能リレー小説 - 学園物

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生徒会日和。 87

「青いし速いし、このマイクロバスって変形とかしないの?」
「いえその…ハンドル操縦と内燃機関で動くロボットの免許は持ち合わせておりませんので…。」

いくら茜さんとこが自動車関連の大企業でも、疾風の如く大地を蹴って攻め来る敵をナギ倒す様な戦闘メカは作らんだろうに。
歩さんの下らないジョークにも真面目な返答を返すハヤトさんに紳士を感じた。
そしてその喋り口調からして借金学生執事だとか、子役アイドルの面倒を見ながら子供の玩具にされてる元ホームレス、みたいな気配はない。
武道経験こそ解らないが確実に学のある人、といった雰囲気だ。

「…面白くないな、世界最速の芝刈り機を作った会社があるのに」
「…残念ながらそこはライバル企業なので」
歩さんのジョークは結局別荘に着くまで続いた。
ハヤトさん、ご苦労様です。

別荘は海を見渡せる小高い丘の上にあった。
…こじんまりしたコテージとか、ペンションみたいなのを想像していたが、普通の一軒家…よりもでかい建物がそこにドンとそびえ立っていた。

「何か、普通のお家だね」
「これで別荘って言うんだから、春田家の邸宅ってどれだけの規模なんだろう」
葵さんと早紀さんの言葉。
正直、僕も同じ気持ちである。

「でも眺めがいいわね。風も気持ちいいし」
真希さんが軽く微笑んで言う。
全身白でそろえたワンピース姿が眩しい。

「あら、みんな来たのね?いらっしゃい」
建物の中から、ハヤトさんと同年代か、それより少し上くらいの女性が姿を現した。
長い黒髪を後ろで束ね、柔らかい笑顔の美人な方。

「この別荘の管理人をしてる桑名あやせです。よろしくね」
この人が茜さんの言ってた管理人さんか。

「数ある別荘の中から、ここを選んでくれて嬉しいわ」
「そりゃあ、あやせさんは幼い頃から縁が」
茜さんの言葉に、思わずほほぉと唸る。

「せっかく来てくれたんだし、ゆっくりくつろいでね」
あやせさんは優しい笑顔でそう言ってくれた。

「あら?」
あやせさんが僕のほうを見る。
「男の子が来たのは初めてね」
「あぁ、えと、穂積樹です」
「あやせさん、ほら、この前言ってた生徒会の男の子が彼」
茜さんが僕の左腕を掴んでくる。

「あらあら上機嫌ね…ここに出入りする若い男の子って言ったら、休み期間だけのお手伝いさんぐらいだし…。」

多分あやせさんの言う人だろう、別荘の裏手から如何にも買い出し用といった具合に、コンテナを載せた原付が出て行く。
平成の出前バイク代表ホンダのジャイロキャノピー、クルマを持ってない若者にも重宝される仕様だ。

商品名通りの雨風よけキャノピーに加えてヘルメットで顔は解らない。
体格からして僕と同年代、肩周りの具合から多少の武道経験者…と分析していた所、腕に茜さんの爪が食い込んだ。
休みなのに武芸者を気取った僕への躾ですかご先祖様?

「何よあいつっ!ウチ関係で仕事するのに他社製のバイクとかっ!」
「痛い痛い茜さん痛い。」

やれやれ、愛社精神あふれる社長令嬢だこと。

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